2020年12月18日金曜日

Watten(Tyrolaen,etc)

 

バッテン・シーズン2

あの日見た切り札を僕達はまだ知らない 

シーズン1ではバーバリア地方のバッテン、オーストリアバッテンを紹介しました。

シーズン2では、バッテンのチロル地方のルールとそれ以外のゲームを紹介します。

ブリントバッテンが特に面白いのですが、かなりプレイミスやリボークを誘発しやすいゲームです。

ブリントバッテンはトリックテイキングゲームを遊び慣れた方同士でプレイしましょう。また複数回以上プレイすることをお勧めします。

インデックス

長い文章になりますので、インデックスを作りました。
<キリティッシュ・バッテン>

チロル地方のバッテン

チロル地方のバッテンは固定の切り札がなくなります。
2~4人までプレイできます。
4人の時にはペア戦になります。4人のプレイから先に説明します。
通常のトランプよりジョーカーと次のカードを除きます。
  • 以外は各スートの2~6を除きます。
  • ♦は各スートの2~5を除きます
このゲームは時計回りに進行します。
カードの強さ
このゲームでは切り札が存在します。
切り札以外の各スートのカードの強さは:A>K>Q>J>10>9>8>7>6
になります。
このゲームでは切り札のランクとスートが「切り札決め」で決まります。
また常に切り札になるカードが存在します。
切り札の強さの順は次の通りです。番号が小さい方が強いカードになります。
このゲームでは切り札のランクとスートが「切り札決め」で決まります。
また常に切り札になるカードが存在します。
切り札の強さの順は次の通りです。番号が小さい方が強いカードになります。
1.レヒテ(der Rechte):

切り札スートと切り札ランクの両方に該当するカードです。例えば切り札スートがで、切り札ランクが9の場合、レヒテは9になります。

2.リンケン(der Linken):

切り札ランクのうち、切り札スートではないカード3枚になります。レヒテが9の場合、ブリンテは♠9、9、♣9になります。リンケン3枚は同じ強さになります。

リンケン3枚は切り札スートには属しません。

同じトリックでリンケンが2枚以上出た場合は、先出し勝ちになります。

切り札ランクが「6」になった場合、リンケンはありません。


3.切り札スートのカード:

切り札のカードの強さは:A>K>Q>J>10>9>8>7になります。

4.ベリ(Weli):

6(常に切り札になります。

切り札ランクが「6」になった場合、ベリはありません。

ディール
全員カードを引いて、一番強いカードを引いたプレイヤーが最初のディーラーになります。
2人以上同じ強さを引いた場合は、該当のプレイヤー同士で決着がつくまで引き続けます。
以降ディーラーは時計回りに持ち回りで交代します。
ディーラーはシャッフルした後、右隣のプレイヤーにカットしてもらいます。
カットした後ディーラーは、まず3枚ずつまとめて、ディーラーの左隣から時計回りに、各プレイヤーに裏向きのまま配ります。
このとき、すでにクリティシュを配られているプレイヤーがいたら、そのプレイヤーにはその分だけ枚数を減らして配ります。
その後、2枚ずつまとめて各プレイヤーに裏向きのまま配ります。
各プレイヤーの手札は5枚になります。
残ったカードは裏向きにして山札にします。山札は交換用に使用します。
ディーラーとディーラーの左隣のプレイヤー以外は、切り札決めが終わるまで配られた手札を見ることはできません。
切り札決め
ディーラーとディーラーの左隣のプレイヤーだけが配られた手札を見ます。
それ以外のプレイヤーは手札を見ることはできません。
切り札を宣言する前に、ディーラーの左隣のプレイヤーは、ディーラーに対してカードの交換の提案をすることができます。
これに対しディーラーは、その提案を受けれてもかまいませんし、拒否してもかまいません。
ディーラーが交換を受け入れた場合、ディーラーの左隣とディーラーは手札を裏向きにして捨て札にします。
その後、ディーラーはディーラー左隣のプレイヤーに5枚、自分に5枚、裏向きのまま配ります。
捨て札と残った山札はプレイでは使用しません。裏向きのまま、ゲームの邪魔にならない場所に置いてください。
ディーラーが交換を拒否した場合は、2人ともカードの交換をすることはできません。
最初にディーラーの左隣のプレイヤーがどのランクを切り札のランクにするかを宣言します。この切り札のランクを「シュラーク」と呼びます。
「6」をシュラークにしてもかまいません。
シュラークを「6」にした場合、リンケンとベリはなくなります。
ディーラーが宣言したスートに関係なく、リンケンとベリがなくなります。
その後、ディーラーが、どのスートを切り札にするかを宣言します。
切り札の宣言が終わった後、残りの2人のプレイヤーは手札を見ることができます。
プレイ
ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートに関係なく好きなカードを出すことができます。
例外として、切り札またはベリがリードで出された場合、以降のプレイヤーは手札に切り札があれば、切り札またはリンケンをプレイしなければなりません。
切り札が複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
手札に切り札がない場合は、切り札を含め何を出してもかまいません。
リンケン3枚は切り札ではありません。
リードでリンケンがプレイされた場合、切り札ならびにリンケンを出す必要はありません。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
  • 切り札が1枚も出ておらず、リンケンが出ている場合、リンケンを出したプレイヤーが勝ちます。リンケンが2枚以上出ている場合は、先出し勝ちになります。
  • 切り札もリンケンも出ていない場合、リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
  • 切り札が出ている場合は、切り札スートで一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
プレイ中どちらかのチームが合計で3トリック取ったら、その瞬間にプレイ終了となります。
得点
プレイで3トリック取ったチームは2点獲得します。
合計15点以上取ったチームの勝ちになります。
ゲーヘン
切り札の宣言が終わった後ならいつでも、どちらのチームのプレイヤーでも、「ゲーヘン」と言ってプレイの点数を2点ではなく3点にすることを提案できます。
ゲーヘンを受けたチームのプレイヤーは、いつでも(受けた直後でも)、「4」といって、さらにプレイの点を1点上げることを提案できます。提案する代わりに降りることもできます。
この時点で降りた場合、相手チームは2点獲得します。
「4」を宣言した場合、相手チームは降りるか受けるかを選択します。
降りた場合には、それまでの点数つまり3点が相手チームにつきます。
このように、相手の提案を受けたチームは、いつでも「5」「6」「7」・・・というように1点ずつプレイの点数を上げる提案を行うことができます。
提案を行うのはトリックをプレイしている途中でもかまいません。
このゲームでは話すことは禁じられていませんので、提案を行うときや受け入れるかどうか決めるときにも、パートナーどうし話し合ってかまいません。
そのチームの合計点が13点以上になったチームは、点数を増やす提案を行うことはできません。
シグナル
切り札が決められた後ならば、パートナーどうしで話し合って作戦をきめることは許されています。
また、自分の持っている手札について次のようなシグナルを出してパートナーに伝えることもできます。
またブラフとして、シグナルにない動作や、間際らしい動作をわざとすることもできます。
指の動作はプレイ前に事前にチーム同士で決めておきましょう。
  1. レヒテ:キスをするように唇をつき出す
  2. リンケン1枚:片目でウィンクする
  3. リンケン2枚:両目を一度閉じる
  4. リンケン3枚:両目を一度閉じた後、片目でウインクする
  5. 切り札のA:右親指(だけでなにかをする)
  6. 切り札のK:右人差し指(だけでなにかをする)
  7. 切り札のQ:右中指(だけでなにかをする)
  8. 切り札のJ:右薬指(だけでなにかをする)
  9. 切り札の10,9,8,7,6:右小指(だけでなにかをする)
  10. ♣:左小指(だけでなにかをする)
  11. ♠:左薬指(だけでなにかをする)
  12. :左中指(だけでなにかをする)
  13. :左人差し指(だけでなにかをする)
  14. 悪い手:天井を見る
6がシュラークになった場合、シグナルを使うことはできません。その代わりパートナー同士で手札を見せ合うことができます(実際にはパートナー同士で手札を交換して、お互いの手札を確認します)。
2人プレイ
4人ゲームとほとんど同じです。ディーラーでないほうが切札のランクを決め、ディーラーが切札のスートを決めます。
3人プレイ
ディーラーの左隣のプレイヤーが切り札のランクと切り札のスートの両方を決めます。
他の2人のプレイヤーが臨時のチームになり、1人対2人でどちらが3トリックを取るかを競います。
各プレイヤーは自分の得点を書きとめます。
2人のチームが勝った場合は、それぞれがその得点(ゲーヘンがなければ2点)を自分の得点とします。
シグナルなし
シグナルなしでプレイします。
グアテ(Guate)
南チロルではレヒテよりさらに強い切り札として、グアテが設定されています。
レヒテよりランクの強さが一つ強いランクがグアテになります。
例えばシュラクが10で切り札スートが♣の場合、グアテは♣Jになります。
シュラクがAで、切り札スートがの場合、グアテは7になります。
シュラクがAで、切り札スートがの場合、グアテはありません。レヒテである6が一番強い切り札になります。
目標点数の変更
合計18点以上取ったチームの勝ちに変更します。
18点以上勝利にした場合、合計16点以上取ったチームはゲーヘンができなくなります。


クリティッシュ・バッテン

クリティッシュ・バッテンは、チロル地方で遊ばれているトリックテイキングゲームです。
チロル地方のバッテンと異なる点のみ説明します。
カードの強さ
レヒテより強いカードがあります。次の3枚は常に切り札になります。

1.マーテル(Martl):K
2.ベリ(Weli):6
3.ネル(Nell):♠7
クリティッシュ・バッテンでは、ベリは2番目に強い切り札になります。
レヒテより強い切り札を次の4枚を設定する場合もあるようです。

1.マーテル(Martl):K
2.ゲシュリーブナー・ベリ(geschriebener Weli):6
3.クライナー・ベリ(kleiner Weli):7
4.アイヒエルスピッツ(Eichelspitz):♠7

レヒテより強いカードの指定は、地域によって異なることがあるそうです。
上記のカードを「クリティッシュ」と呼びます。
切り札決め
切り札ランクで「6」を指定することはできません。
プレイ
クリティッシュは好きなときに出すことができます。
またクリティッシュがリードで出された時、他のプレイヤーは何を出してもかまいません。
シグナル
  1. マーテル(K):キスをするように唇をつき出す
  2. ベリ:唇を右に動かす
  3. ネル(♠7):唇を左に動かす
  4. レヒテ:右目でウインクする
  5. リンケン:左目でウインクする
  6. 切り札のA:右親指(だけでなにかをする)
  7. 切り札のK:右人差し指(だけでなにかをする)
  8. 切り札のQ:右中指(だけでなにかをする)
  9. 切り札のJ:右薬指(だけでなにかをする)
  10. 切り札の10,9,8,7,6:右小指(だけでなにかをする)

ブリント・バッテン

ラディッシュ・バッテン(Ladish Watten)とも呼ばれています。
このゲームは4人ペア戦のみになります。
南チロルとオーストリアのシュタイアーマルクでよく遊ばれているそうです。
「切り札決め」と「プレイ」以外はチロル地方のバッテンと異なる点のみ説明します。
カードの強さ
レヒテより強いカード「グアテ」があります。
レヒテよりランクの強さが一つ強いランクがグアテになります。
例えばシュラクが10で切り札スートが♣の場合、グアテは♣Jになります。
シュラクがAで、切り札スートがの場合、グアテは7になります。
シュラクが6で、切り札スートがの場合、ベリ、リンケンに加えグアテはありません。レヒテである6が一番強い切り札になります。
「6」がシュラークにならないかぎり、どのスートが切り札になっても6はベリとして扱います。
一部地域ルールでは7をグアテにするルールもあるようです。
またベリは常に切り札にはなりません。
切り札決めでスートで6を出した時、切り札スートはになります。ただし、プレイ上、6は、どのスートにも属さない独立したカードになります。
※ゲームファームではベリは切り札扱いにならないと説明がありますが、PAGATでは言及はありません。
切り札決め
ディーラーとディーラーの左隣のプレイヤーだけが配られた手札を見ます。
それ以外のプレイヤーは手札を見ることはできません。
切り札を宣言する前に、ディーラーの左隣のプレイヤーは、ディーラーに対してカードの交換の提案をすることができます。
これに対しディーラーは、その提案を受けれてもかまいませんし、拒否してもかまいません。
ディーラーが交換を受け入れた場合、ディーラーの左隣とディーラーは手札を裏向きにして捨て札にします。
その後、ディーラーはディーラー左隣のプレイヤーに5枚、自分に5枚、裏向きのまま配ります。
捨て札と残った山札はプレイでは使用しません。裏向きのまま、ゲームの邪魔にならない場所に置いてください。
ディーラーが交換を拒否した場合は、2人ともカードの交換をすることはできません。
ディーラーの左隣のプレイヤーが手札からシュラーク(切り札のランク)のカードを1枚選びます。
「6」をシュラークにしてもかまいません。
シュラークを「6」にした場合、ディーラーが出したスートに関係なく、ベリ、リンケン、グアテはなくなります。
ディーラーは手札から切り札スートにするカードを1枚選びます。
選んだ後、ディーラーの左隣とディーラーの2人だけが同時に選んだカードを見せ合います。
このとき他の2人にはわからないようにします。
ディーラー左隣のプレイヤーとディーラーはシュラークと切り札スートをよく覚えておいてください。
またカードの強さを頭の中でよく確認しておきましょう。
見せ終わった後、残りの2人のプレイヤーは手札を見ることができます。
ただし他の2人にシュラークと切り札スートがなんであるかは言ってはいけません。
プレイ
プレイ終了するまで、他の2人にシュラークと切り札スートがなんであるかは言ってはいけません。
ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートに関係なく好きなカードを出すことができます。
例外として、切り札またはベリがリードで出された場合、以降のプレイヤーは手札に切り札があれば、切り札またはリンケンをプレイしなければなりません。
切り札が複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
手札に切り札がない場合は、切り札を含め何を出してもかまいません。
リンケン3枚は切り札ではありません。
リードでリンケンがプレイされた場合、切り札ならびにリンケンを出す必要はありません。
・・・
う、うん!? ちょっと待てよと思った方、そうです!
シュラークと切り札スートを知らない2人は、上記のルールを守ることは不可能です。
そこで、シュラークと切り札スートを知らない2人は、代わりに次のルールを適用します。
シュラークと切り札スートを知らない2人は、切り札またはベリがリードで出されたとしても、好きなカード(切り札を含む)を出します。
つまり、シュラークと切り札スートを知らない2人はリボークしたい放題になります。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
このときディーラー左隣のプレイヤーまたはディーラーが勝者を宣言します(または勝ったカードを指で指します)。
このとき勝った理由までしゃべることはできません。
  • 切り札が1枚も出ておらず、リンケンが出ている場合、リンケンを出したプレイヤーが勝ちます。リンケンが2枚以上出ている場合は、先出し勝ちになります。
  • 切り札もリンケンも出ていない場合、リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
  • 切り札が出ている場合は、切り札スートで一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
プレイ中どちらかのチームが合計で3トリック取ったら、その瞬間にプレイ終了となります。
得点
プレイで3トリック取ったチームは2点獲得します。
合計15点以上取ったチームの勝ちになります。

ブリントバッテンでも、ゲーヘン、シグナルを適用します。
初めてプレイするとあまりの衝撃なゲーム感のあまり、すっかり忘れがちになりますけど。
プレイ中トリックの勝者の判定などで切り札がわかってしまうこともありますが、切り札は秘匿のままプレイを続けます。
もしプレイの途中や、プレイ終了後リボークがわかった場合は、そのディールの得点をなしにしてやりなおすか、相手に勝ち点2点を与えるか、どちらかにした方が良いと思われます。
慣れないうちはそのディールをやり直した方が良いと思います。
切り札を決める役割は責任重大ですが、いかにパートナーに切り札を伝えるか考えるのも楽しかったです。
切り札を知らない方はトリックテイキングに加え、切り札が何かを当てる、いわば謎解きゲームの要素があり、かなり楽しいゲームでした。
何回か遊んで慣れないと、本来の楽しさがわかりづらいかもしれません。


ボヘミアン・バッテン

ボヘミアン・バッテンは個人戦になります。
各プレイヤーは初期点数20点を0点以下にすることがこのゲームの目的になります。
プレイ人数の制限は内容です。
今までのバッテンとの大きな違いは、カードのプレイで次の点になります。
  • リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ず出さなくてはなりません。
  • 今まで出たカードより強いカードがある場合は、必ずそのカードを出さなくてはなりません
ディーラーがシャッフルした後、一番下のカードを公開したカードが切り札になります。
明記はされていませんが、そのカードのランクが切り札ランクになると思われます。
各プレイヤーに5枚配られた後、ディーラーの左隣から時計回りにカードの交換をすることができます。
カードの交換は最大3枚までになりますが、ディーラーは2枚だけになります。
1トリック取るごとに持ち点数から2点ずつ引きます。
ただし1トリックも取れないと持ち点に5点が加算されます。
またが切り札の場合、得点が倍になります。
つまり1トリック取るごとに-2点、1トリックも取れないと10点加算されます。
もし持ち点がマイナス点になった場合は、マイナスのままゲーム終了となります。
ゲーム終了後、より持ち点が低いプレイヤーの勝ちになると思われます。

参考文献・参考サイト

参考文献
・トランプ大全
・キリンが欲望の赴くままにトランプのトリックテイキングゲーム本を書いてみました
参考サイト
BR

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