2020年12月15日火曜日

Watten

バッテン・シーズン1

バーバリア地方のバッテンとオーストリア・バッテン

バッテン(Watten)はドイツの南東部にあるバーバリア地方、オーストリアの南チロル、スイスで遊ばれているトリックテイキングゲームです。

通常は4人ペア戦でプレイします。2人または3人でもプレイ可能です。

カードの強さ、フォローのルールに癖があるゲームです。取っ付きにくさはありますが、面白いゲームの1つです。

バッテンは、フランス人と同盟を結んだババリア人が、野営地で時間をつぶさなければならなかったときに作ったと言われています。

バッテンの名の由来は、フランス語の「va tout」(最後の切り札)とから来ていると思われます。

ちなみにBoardgame Geekのレートは7.2です。

バッテンにはいくつかのバリエーションがあります。

シーズン1では、バーバリア地方のバッテンとオーストリアバッテンを紹介します・



バッテンは2~4人までプレイできます。
最初に4人の時から説明します。4人の時にはペア戦になります。
ペアになった2人は向かい合わせに座ります。
通常のトランプより各スートの2~6、ジョーカーを除きます。
全部で32枚になります。
このゲームは時計回りに進行します。

カードの強さ

このゲームでは切り札が存在します。
切り札以外の各スートのカードの強さは:A>K>Q>J>10>9>8>7
になります。
このゲームでは切り札のランクとスートが「切り札決め」で決まります。
また常に切り札になるカードが存在します。
切り札の強さの順は次の通りです。番号が小さい方が強いカードになります。
1.マクシ(Maxi):

K

2.ベリ(beli):

7

3.シュプリッツアー(Spritzer/Soacha):

♣7

上記3枚を「クリティッシュ(Kritische)」と呼びます。
4.ハウプトシュラーク(Houptschlag):

切り札スートと切り札ランクの両方に該当するカードです。例えば切り札スートがで、切り札ランクが9の場合、ハウプトシュラークは9になります。もしハウプトシュラークがクリティッシュに該当するカードだった場合は、ハウプトシュラークに該当するカードはありません。

5.ブリンデ(Blinde):

切り札ランクのうち、切り札スートではないカード3枚になります。ハウプトシュラークが9の場合、ブリンデは♠9、9、♣9になります。ブリンデ3枚は同じ強さになります。同じトリックでブリンデが2枚以上出た場合は、先出し勝ちになります。

6.切り札スートのカード:

切り札のカードの強さは:A>K>Q>J>10>9>8>7になります。

ディール

最初のディーラーはじゃんけんなど任意の方法で決めます。
以降ディーラーは時計回りに持ち回りで交代します。
ディーラーはシャッフルした後、右隣のプレイヤーにカットしてもらいます。
カットした上半分のカードの一番下のカード(を全員に見せます。
もしそのカードがクリティシュ(K,7,♣7)であれば、そのカードは直ちにカットしたプレイヤー(ディーラーの右隣のプレイヤー)に配られます。
その後、その上のカードを全員に見せます。そのカードがクリティシュ(K,7,♣7)であれば、そのカードは直ちにカットしたプレイヤー(ディーラーの右隣のプレイヤー)に配られます。
さらにその後、その上のカードを全員に見せます。そのカードがクリティシュ(K,7,♣7)であれば、そのカードは直ちにカットしたプレイヤー(ディーラーの右隣のプレイヤー)に配られます。
つまりディーラーの右隣のプレイヤーは、最大3枚クリティッシュを初期手札に持つことになります。
ディーラーは、まず3枚ずつまとめて、ディーラーの左隣から時計回りに、各プレイヤーに裏向きのまま配ります。
このとき、すでにクリティシュを配られているプレイヤーがいたら、そのプレイヤーにはその分だけ枚数を減らして配ります。
その後、2枚ずつまとめて各プレイヤーに裏向きのまま配ります。
各プレイヤーの手札は5枚になります。
残ったカードは使用しません。裏向きのまま、ゲームの邪魔にならない場所に置いてください。
ディーラーとディーラーの左隣のプレイヤー以外は、切り札決めが終わるまで配られた手札を見ることはできません。

切り札決め

ディーラーとディーラーの左隣のプレイヤーだけが配られた手札を見ます。
それ以外のプレイヤーは手札を見ることはできません。
最初にディーラーの左隣のプレイヤーがどのランクを切り札のランクにするかを宣言します。この切り札のランクを「シュラーク」と呼びます。
その後、ディーラーが、どのスートを切り札にするかを宣言します。
切り札の宣言が終わった後、残りの2人のプレイヤーは手札を見ることができます。


プレイ

ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートに関係なく好きなカードを出すことができます。
例外として、最初のトリックにハウプトシュラークがリードされた場合、以降のプレイヤーは手札に切り札があれば、切り札をプレイしなければなりません。
切り札が複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
手札に切り札がない場合は、切り札を含め何を出してもかまいません。
ただし、このとき誰かがクリティシュ(K,7,♣7)をプレイしたら、その後のプレイヤーは何をプレイしてもかまわなくなります。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
  • 切り札が出ていない場合は、リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
  • 切り札が出ている場合は、切り札スートで一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
  • 最も強いカードがブリンデで、ブリンデが2枚以上出ている場合は先出し勝ちになります。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
プレイ中どちらかのチームが合計で3トリック取ったら、その瞬間にプレイ終了となります。

得点

プレイで3トリック取ったチームは2点獲得します。
合計11点以上取ったチームの勝ちになります。

ゲーヘン

切り札の宣言が終わった後ならいつでも、どちらのチームのプレイヤーでも、「ゲーヘン」と言ってプレイの点数を2点ではなく3点にすることを提案できます。
ゲーヘンを受けたチームのプレイヤーは、いつでも(受けた直後でも)、「4」といって、さらにプレイの点を1点上げることを提案できます。提案する代わりに降りることもできます。
この時点で降りた場合、相手チームは2点獲得します。
「4」を宣言したあと、相手チームは降りるか受けるかを選択します。
降りた場合には、それまでの点数つまり3点が相手チームにつきます。
このように、相手の提案を受けたチームは、いつでも「5」「6」「7」・・・というように1点ずつプレイの点数を上げる提案を行うことができます。
提案を行うのはトリックをプレイしている途中でもかまいません。
このゲームでは話すことは禁じられていませんので、提案を行うときや受け入れるかどうか決めるときにも、パートナーどうし話し合ってかまいません。
そのチームの合計点が9点以上になったチームは、点数を増やす提案を行うことはできません。

シグナル

切り札が決められた後ならば、パートナーどうしで話し合って作戦をきめることは許されています。
また、自分の持っている手札について次のようなシグナルを出してパートナーに伝えることもできます。
  1. マクシ(K):キスをするように唇をつき出す
  2. ベリ(7):右目をウィンクする
  3. シュプリツァー(♣7):左目をウィンクすうる
  4. ハウプトシュラーク:鼻にしわをよせる
  5. ブリンデ:ブリンデの枚数分の指を少し伸ばす
  6. それ以外の切札:中指で枚数分テーブルを叩く
シグナルを覚えるは至難の業ですが、覚えるとかなり楽しさが倍増しそうです。


バリエーション


2人プレイ
4人ゲームとほとんど同じです。ディーラーでないほうが切札のランクを決め、ディーラーが切札のスートを決めます。

3人プレイ
ディーラーの左隣のプレイヤーが切り札のランクと切り札のスートの両方を決めます。
他の2人のプレイヤーが臨時のチームになり、1人対2人でどちらが3トリックを取るかを競います。
各プレイヤーは自分の得点を書きとめます。
2人のチームが勝った場合は、それぞれがその得点(ゲーヘンがなければ2点)を自分の得点とします。

マシネ(machine)
手札にクリティシュ(K,7,♣7)が3枚ともある場合は、必ずその旨を宣言して2点獲得するといルールを追加します。

切り札決めの変更
ディーラー左隣のプレイヤーは、シュラークの変更(Schlagwechsel)をディーラーに申し入れができるよう、ルールを変更します。
シュラーク変更をディーラーが合意した場合、最初にディーラーの左隣のプレイヤーがどのスートを切り札するかを宣言します。
その後、ディーラーが、どのランクを切り札ランク(シュラーク)にするかを宣言します。

目標点数の変更
合計15点以上取ったチームの勝ちに変更します。
15点以上勝利にした場合、合計13点以上取ったチームはゲーヘンができなくなります。



オーストリアのバッテン

オーストリア、特にザルツブルクや北チロル地方では、2番目に強い切り札は6になります。つまりクリティッシュの強さは:
K>6>♣7
になります。
オーストリアのカリンシアの特定の地域では、クリティッシュが4枚になります。
クリティッシュの強さは:
J>K>7>♣7
になります。
上記以外はバーバリア地方のバッテンと同じようです。


参考文献・参考サイト

参考文献
・トランプ大全
・キリンが欲望の赴くままにトランプのトリックテイキングゲーム本を書いてみました
参考サイト
BR

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