2022年12月25日日曜日

ベア(Bear)

ベア(Bear) は、John Burton氏が考案した、トランプを使ったトリックテイキングゲームです。
ベアはスカートをベースにしつつ、ホイスト、スペード、500、ハーツなどプレイヤーにとってなじみ深い用語に置き換えたそうです。

👉人数:3人

👉使用するカード:通常のトランプより以下のカードを取り除きます。
  • 各スートの2~4
  • ♣A,♣K,♣Q,♣J
  • A,K,Q,J
  • ジョーカー
使用するカードは全部で32枚になります。
カードの強さ:A>K>Q>J>10>9>8>7>6>5
カードの強さは後述するゲームの選択によって変わります。

👉ゲーム終了条件は特に決まっていません。プレイするディール数などを決めておきましょう。

このゲームは時計回りに進行します。



カードの得点

各カードの得点は下記の通りです。
  • K:各5点
  • Q:各3点
  • J:各2点
  • 10:各10点
  • 5:各5点
  • 上記以外:0点
1ディール終了後、同じスートのQとJ(母熊と子熊)を獲得した場合、追加で5点獲得します。この追加点を「ボンド」(絆)と呼びます。
1ディール終了後、2枚のQと2枚のJを獲得した場合、追加で20点獲得します。この追加点を「ビッグ・ボンド」(大きな絆)と呼びます。

ディール

最初のディーラーは適当な方法で決めます。以降ディーラーは、時計回りに交代します。
ディーラーはシャッフルした後、各プレイヤーに3枚ずつ裏向きのまま配ります。
次にテーブルの中央に裏向きのまま2枚置きます。この2枚を「キティ」と呼びます。
その後各プレイヤーに4枚ずつ裏向きのまま配ります。
最後に各プレイヤーに3枚ずつ裏向きのまま配ります。
各プレイヤーの手札は10枚になります。

ビッド

ディーラーの左隣のプレイヤーからビッドをします。
ビッドは時計回りに1周のみ行います。
ビッドは自分が獲得できるであろう得点を宣言した上でゲームを1つ選択するか、またはパスをします。
「ヌル」を宣言する場合は得点を宣言する必要はありません。
ビッドする場合は、最低でも40以上を宣言しなければなりません。
前のプレイヤーがビッドした場合は、直前のビッドより上回る数字を宣言します。
数字を上げる場合は5刻みで上げます。
1周した後、最も高いビッド数を宣言したプレイヤーがデクレアラーになります。
ちなみに最も高いビッドは100点、次に強いビッドは「ヌル」宣言になります。
もし全員ビッドすることなくパスした場合は、カードを配り直すか、または「スロップラウンド」をプレイします。
どちらにするかは、全員が合意の上で決めます。

ゲームの選択

デクレアラーが選択したゲームがこのディールでプレイするゲームになります。
ビッドで「ヌル」宣言した場合は、自動的にヌルゲームになります。
  • スートゲーム:できるだけトリックを取るゲームです。デクレアラーは切り札を1つ決めます。ノートランプ(切り札なし)にすることはできません。
  • グランド・レッド、またはグランド・ブラック:できるだけトリックを取るゲームです。宣言した色に応じてカードの強さが決まります。
  • ヌル:ノートランプ(切り札なし)になります。デクレアラーは1トリックも取らないことが目標になります。

カードの強さ

デクレアラーが選択したゲームによってカードの強さが次のように決まります。
切り札があるゲームの場合、必ず絵札(A,K,Q,J)は切り札になります。
  1. スートゲームで切り札を♠にした場合:
    • 切り札:♠A>A>♠K>K>♠Q>Q>♠J>J>♠10>♠9>♠8>♠7>♠6>♠5
    • それ以外:カードの強さ順です。
  2. スートゲームで切り札を♣にした場合:
    • 切り札:♠A>A>♠K>K>♠Q>Q>♠J>J>♣10>♣9>♣8>♣7>♣6>♣5
    • それ以外:カードの強さ順です。
  3. スートゲームで切り札をにした場合:
    • 切り札:A>♠A>K>♠K>Q>♠Q>J>♠J>10>9>8>7>6>5
    • それ以外:カードの強さ順です。
  4. スートゲームで切り札をにした場合:
    • 切り札:A>♠A>K>♠K>Q>♠Q>J>♠J>10>9>8>7>6>5
    • それ以外:カードの強さ順です。
  5. グラントゲーム・レッドを選択した場合:
    • 切り札:A>♠A>K>♠K>Q>♠Q>J>♠J
    • それ以外:カードの強さ順です。
  6. グラントゲーム・ブラックを選択した場合:
    • 切り札:♠A>A>♠K>K>♠Q>Q>♠J>J
    • それ以外:カードの強さ順です。
ヌルゲームでは切り札はありません。カードの強さ順になります。

キティ

デクレアラーはキティ2枚を他のプレイヤーに見せないよう、手札に加えます。
その後、手札か2枚裏向きにして場の中央に捨てます。このとき手札に加えたキティ2枚を捨ててもかまいません。
キティのカードの得点はディール終了後、デクレアラーの得点に加算されます。

プレイ

ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ずそのスートを表向きにして場に出します。
該当のスートが複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
ない場合は、切り札を含めて好きなカードを出せます。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
  • 切り札が出ていない場合は、リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
  • 切り札が出ている場合は、切り札スートで一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場のカードを全て裏向きにして、自分の脇に置きます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
全員の手札がなくなるか、またはデクレアラーの敗北が確定した瞬間、1ディール終了になります。

得点

1ディール終了後、デクレアラーはトリックで取ったカードの得点、ボンドまたはビッグ・ボンドの得点、キティの得点を合計します。
合計点がデクレアラーがビッドで宣言した点数以上であれば、デクレアラーの成功になります。それ以外はデクレアラーの失敗になります。
ヌル宣言の時は、デクレアラーが1トリックも取らなければ、デクレアラーの成功になります。デクレアラーが1トリックでも取った場合はデクレアラーの失敗になります。
デクレアラーの成否により、各プレイヤーの得点は下記表の通りになります。


スロップラウンド

もし全員ビッドすることなくパスした場合は、全員合意の上で「スロップラウンド」のゲームをすることができます。
スロップラウンドでは切り札はありません。カードの強さ順になります。
このゲームはできるだけ得点を取らないゲームになります。
1ディール終了後、各自取ったカードの得点計算をします。このときボンド、ビッグボンドの得点も加算します。
キティは誰のものにもなりません。
各プレイヤーの得点は次のようになります。
  • もっと高い合計点のプレイヤーの得点ー自分の得点

ゲーム終了

プレイ前に決めたディール数また点数以上二達したらゲーム終了です。
最も合計点が高いプレイヤーの勝利になります。同点は引き分けです。
作者の推奨は12ディール、または500点以上先取です。

参考サイト


2022年12月22日木曜日

スパー(Spar)

スパーはガーナでよく遊ばれているトリックテイキングゲームです。
通常は2~4人までで遊びますが、最大7人まで遊ぶことができます。

👉人数:2~7人(通常は2~4人)

👉使用するトランプ:通常のトランプより各スートの2~5、♠A、ジョーカーを除きます。全部で35枚になります。

👉目的:最後のトリックで勝つこと

👉カードの強さ:

♠以外:6>7>8>9>10>J>Q>K>A

♠:6>7>8>9>10>J>Q>K

切り札はありません。

👉ゲーム終了条件は特に決まっていません。プレイするディール数などを決めておきましょう。
プレイする前にチップを用意してください。
またプレイの進行は時計回りでも反時計回りでもプレイされているようです。
このブログでの説明は時計回りで説明します。



ディール

適当な方法で最初のディーラーを決めます。次のディール以降は前のディールの勝者がディーラーになります。
ディーラーは裏向きのまま3枚ずつ、左隣のプレイヤーから時計回りに配ります。その後裏向きのまま2枚ずつ、左隣のプレイヤーから時計回りに配ります。
ディールの配り方は裏向きに1枚ずつでもかまいません。
各プレイヤーの手札は5枚になります。
残ったカードはこのディールでは使用しません。裏向きのまま山札にして1カ所に集めておきます。

プレイ

ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ずそのスートを表向きにして場に出します。
該当のスートが複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
全員の手札がなくなるまでプレイを続けます。
手札がなくなったら、1ディール終了です。

勝者と得点

最後のトリック(5トリック目)に勝ったプレイヤーがこのディールの勝者になります。
勝者は他の各プレイヤーから次のように1~3点獲得します。
  • 最後のトリックで「6」で勝った:3点
  • 最後のトリックで「7」で勝った:2点
  • 上記以外で最後のトリックに勝った:1点

バリエーション

いくつかのバリエーションがあります。
  • ♠Aを加えた36枚を使う(各スートの2~5を除く)
  • 各プレイヤーの手札を7枚にする。その場合最後のトリックが7トリック目になる
  • 「10未満のルール」:各プレイヤーに5枚ずつ配られた際、一番強いカードが9以下の場合、配り残りのカードと交換することができます。交換する場合は、手札5枚全てを裏向きのまま捨て札にして、配り残りの山札から手札を5枚補充します。手札7枚の時でもこのバリエーションを採用できると思われます。
  • 4トリック目のプレイ中(手札7枚の時は、6トリック目のプレイ中)、山札の一番下のカード1枚の公開を請求することができます。他のプレイヤー全員が賛成すれば、山札の一番下カード1枚を公開します。
Alexey Lobashev氏がガーナのJoseph Essilfy氏のルールでは、最後の2トリック(3トリック目、5トリック目。7枚の場合は6トリック目、7トリック目)で「6」または「7」で買った場合、他の各プレイヤーから次のように得点を獲得します。
  • 最後の2トリック両方とも「6」で勝利:6点
  • 最後の2トリック両方とも「7」で勝利:4点
  • 上記以外で最後の2トリックを「6」または「7」で勝利(7-6または6-7):5点
1ディール終了後、上記プレイヤーが勝者になり、最後のトリックの得点に上記の得点を追加します。
つまり:
  • 最後の2トリック両方とも「6」で勝利:合計9点を他のプレイヤー全員から獲得
  • 最後の2トリックを7-6で勝利:合計8点を他のプレイヤー全員から獲得
  • 最後の2トリックを6-7で勝利:合計7点を他のプレイヤー全員から獲得
  • 最後の2トリック両方とも「7」で勝利:合計6点を他のプレイヤー全員から獲得
  • 上記以外で最後のトリックに勝った:合計1点を他のプレイヤー全員から獲得
になります。
この得点方式を採用する場合、紙で記録しこのディールまでの合計点の左隣に"C"を記載します。
例えばこれまでの合計が14点の場合、"C14"と記載します。
このゲームはプレイする前に合意の上で合計30点以上獲得でゲーム終了にします。
また紙ではなく、石をチップ代わりにしてプレイすることもあるようです。

Jeu de Carte in Benin

ベナンではフランス語で「カードゲーム」おいう意味で、似たようなゲームがあります。
上記ルールとの違いは次のようになります。
  • ♠Aと各スートの2~6を除いた31枚を使用します。
  • プレイしたカードはテーブルの中央ではなく、自分の前に出します。リードされたスートがない場合、手札から好きなカード1枚裏向きにして出します。
  • 最後のトリックに「7」で勝った場合、他のプレイヤー全員から2点を獲得します。それ以外のカードで最後のトリックに勝った場合、他のプレイヤー全員から1点を獲得します。
  • プレイする前に合意の上で合計24点以上獲得でゲーム終了にします。

Sipa in Togo

トーゴの農作業のない乾季の農村地域で人気のあるゲームです。
上記ルールとの違いは次のようになります。
  • ♠Aと各スートの2~6を除いた31枚を使用します。
  • 反時計回りでプレイします。
  • 各プレイヤーの手札は5枚になります。
  • 経験があるプレイヤー2人でプレイする場合、リードの際必ず勝つカードがある場合は、そのカードともう1枚、計2枚を出します。
  • 最後のトリックに「7」で勝った場合、他のプレイヤー全員から2点を獲得します。それ以外のカードで最後のトリックに勝った場合、他のプレイヤー全員から1点を獲得します。
  • 1トリック終了後、プレイしたカードは表向きのまま1カ所に集められます。次のトリック以降、プレイ済みに集められた場所の上に出します。
  • 1ディール終了後、次のように得点を獲得します。
    • 勝者が最後の 3 トリック全てを「 7 」で勝てば6 点
    • 勝者が最後の 2 トリック全てを「 7」で勝った場合は4点
    • 勝者が最後の トリックを「 7」で勝った場合は2 点
    • 勝者が上記以外で最後のトリックに勝った場合は1点
  • 1ディール終了後、いずれか1人が合計10点以上獲得すれば、ゲーム終了になります。一番合計点が高いプレイヤーの勝利です。プレイする前に終了条件を合計6点以上、合計12点以上、または合計24点以上にすることができます。

Agram

Agramはニジェール共和国で生まれたとされるトリックテイキングゲームです。
スパーと関連のあるゲームです。
マリの北部、トンブクトゥ、キダルでプレイされています。またカメルーンではfapfapという名前で知られています。
プレイ人数は明記されておりません。
最初にニガール共和国でプレイされているルールを紹介します。またスパーと異なる点だけを紹介します。
  • 使用するカード:通常のトランプより各スートのJ,Q,K,2と♠A、ジョーカーを除いた35枚。♠Aは「チーフ」と呼ばれています。
  • カードの強さ:10>9>8>7>6>5>4>3>A
  • 反時計回りでプレイ
  • カードは裏向きに3枚ずつ、計2回配ります。各プレイヤーの手札は6枚になります。
  • 1ディール終了でゲーム終了となるようです。最後のトリックに勝ったプレイヤーの勝利になります。得点は発生しません。

Sink-Sink in Niger

各プレイヤーの手札は5枚になります。
ディールでは最初に2枚ずつ裏向きにして各プレイヤーに配り、その後3枚ずつ裏向きにして各プレイヤーに配ります。
それ以外は上記と同じです。

Fapfap in Cameroon

最近になってニガール共和国からカメルーンに伝わったゲームです。
お金を賭けてプレイしているようです。
ニガール共和国のAgramと異なる点を紹介します。
  • 5トリック目と6トリック目に勝ったプレイヤーが得点を獲得します。
  • プレイしたカードは自分の前に置きます。
  • 最後の2トリックともに3で勝ったプレイヤーは、賭け金の4倍貰える
  • 最後のトリックを3で勝ったプレイヤーは、賭け金の2倍貰える
  • 上記以外で最後のトリックを勝ったプレイヤーは、賭け金分だけ貰える

Agram in Mali

ニガール共和国のAgramと異なる点を紹介します。
  • 使用するカードは通常のトランプより各スートの2~6と♠A、ジョーカーを除いた31枚。
  • 通常のカードの強さ:7>J>8>9>Q>10>K>A(場所により異なるようです)
  • 各プレイヤーの手札は6枚になります。



余談

スパーにつきまして:
ガーナではディーラーがシャッフルしている際、相手プレイヤーが「ストップ」("Bra")を宣言して、シャッフルを止めるそうです。
またフィンランドでは"Viimeinen tikki"としてこのゲームが記載されています。
異名同ゲームなのか、似たようなゲームなのか、スパーとの関連性はわかりません。
ゲームファームと記載が異なっていますが、どちらが本来のルールかはわかりません。
スパー、Agramを地図でピン止めしました。

参考サイト

👉スパー
👉Agram