ドッペルコップ(Doppelkopf)は、ドイツの北部の方で人気のあるトリックテイキングゲームです。
非常に複雑なゲームで、正体隠匿要素のあるゲームです。
👉プレイ人数:4,5人
👉使用するカード:通常のトランプ2組使用します。それぞれジョーカーと各スート2~8を除いた24枚を使います。全部で48枚になります。
👉カードの強さ:それぞれの強さは次の通りです。
切り札:♥10>♣Q>♠Q>♥Q>♦Q>♣J>♠J>♥J>♦J>♦A>♦10>♦K>♦9
♣:♣A>♣10>♣K>♣9
♠:♠A>♠10>♠K>♠9
♥:♥A>♥K>♥9
※切り札以外はスート間の強弱はありません。
👉ゲームの目的:121点以上を取ること
このゲームは時計回りに進行します。
ゲーム終了条件は特に決まっていません。予めディール数など決めておいてください。
カードの点数
このゲームでは各カードに次のように点数が付いています。
- A:各11点
- 10:各10点
- K:各4点
- Q:各3点
- J:各2点
- 9:0点
合計240点になります。
ディール
じゃんけんなど適当な方法で最初のディーラーになります。以降ディーラーは時計回りで持ち回りで交代します。
5人の場合、ディーラーはゲームに参加しません(得点も獲得しません)。
ディーラーは使用するカードをシャッフルした後、裏向きにして各プレイヤーに4枚ずつ、カードがなくなるまで配ります。
各プレイヤーの手札は12枚になります。
ゲームの種類
このゲームではプレイの前にビッドでゲームの選択をします。
ゲームの種類は次の通りです。
【通常のゲーム】
♣Qを持っている2人がペアになります。
プレイで出す時、または後述の「レ」、「コントラ」宣言があるまでは、自分が♣Qを持っていることを明かしてはいけません。
1人のプレイヤーが♣Qを2枚持っている場合は、♣Qを持っているプレイヤーと他の3人で戦います。このとき自分が♣Qを持っていることを言う必要はありません。
♣Qを2枚持っている場合のみ、マリッジを選択することができます。
「マリッジ」を選択した場合、♣Qを持っているプレイヤー以外で、最初のトリックに勝ったプレイヤーが、♣Qを持っているプレイヤーのパートナーとなります。
ただし、♣Qを持っているプレイヤーが最初の3トリックを3連勝した場合、♣Qを持っているプレイヤーが1人で他の3人を相手に戦います。
【アルムート】
手札のうち切り札が3枚以下しかない場合のみ選択できます。
このゲームが選択された場合、プレイの前にこのゲームを選択したプレイヤーが手札から3枚を、他のプレイヤーに見せないよう裏向きにして、他のプレイヤーに交換を申し込みます。このとき持っている切り札全部出して交換しなければなりません。
交換はまずディーラーの左隣のプレイヤーに申し込みます。断られた場合、時計回りの順に交換を申し込みます。誰かが交換に応じた場合、該当プレイヤーと交換をします。
交換はまず応じたプレイヤーが出された3枚を手札に加えます。その後、交換を申し出たプレイヤーに3枚渡します。渡すカードはどのカードでもかまいません。もらったカード3枚とも返してもかまいません。
交換し合った2人がパートナーになります。
全員交換を断った場合は、ディーラーを交代してカードを配り直します。
【ソロ】
ソロを選択したプレイヤー1人が、他の3人を相手に戦います。
ソロのゲームには次の種類があります。
・クイーンソロ:切り札がQの8枚だけになります。
・ジャックソロ:切り札がJの8枚になります。
・スートソロ:♠、♥、♦、♣のうち、いずれか1つを切り札にします。この選択をすると、切り札のうち「♦A>♦10>♦K>♦9」が選択したスートに置き換わります。
つまり切り札が次のように変わります:
👉スートソロで♠を選択
切り札:♥10>♣Q>♠Q>♥Q>♦Q>♣J>♠J>♥J>♦J>♠A>♠10>♠K>♠9
👉スートソロで♥を選択
切り札:♥10>♣Q>♠Q>♥Q>♦Q>♣J>♠J>♥J>♦J>♥A>♥10>♥K>♥9
👉スートソロで♦を選択
切り札:♥10>♣Q>♠Q>♥Q>♦Q>♣J>♠J>♥J>♦J>♦A>♦10>♦K>♦9
※切り札の強さは変わりません。
👉スートソロで♠を選択
切り札:♥10>♣Q>♠Q>♥Q>♦Q>♣J>♠J>♥J>♦J>♣A>♣10>♣K>♣9
・ノートランプソロ:切り札なしになります。
全てのスートの強さがA>10>K>Q>J>9になります。
ビッド
ビッドはディーラーの左隣から時計回りの順で行います。
最初に「普通のゲーム」以外をしたいかどうかを宣言します。
「普通のゲーム」をしたい場合は、「パス」を宣言します。
「普通のゲーム」以外をしたい場合は、「保留します」と宣言します。
「保留します」と宣言したプレイヤーが2人以上いる場合は、「ソロ」宣言するかどうかをディーラーの左隣から時計回りの順に聞きます。
ソロ宣言したい場合は、「ソロ」を宣言します。
ソロ宣言したくない場合は、「パス」を宣言します。
いずれか1人が「ソロ」宣言した時点でビッドを終了します。
全員パスした場合は、上記「ソロ」宣言の確認と同じ手順で「アルムート」の宣言の確認をします。
全員パスした場合は、上記「ソロ」宣言の確認と同じ手順で「マリッジ」の宣言の確認をします。
攻撃側と防御側の決定
👉「普通のゲーム」
♣Qを持っている2人がペア組み、攻撃チームになりなります。他の2人がペアを組み、防御チームになります。
♣Qを2枚持っているプレイヤーが攻撃側になります。他の3人がトリオになり、防御チームになります。
「ソロ」宣言したプレイヤーが攻撃側になり、他の3人がトリオになり、防御チームになります。
「ソロ」宣言したプレイヤーは、さらにゲームを選択します。
👉「アルムート」
「アルムート」宣言したプレイヤーは、手札から裏向きに3枚だし各プレイヤーに交換を申し込みます。
「アルムート」宣言したプレイヤーと交換を受け入れたプレイヤーがペアを組み、攻撃チームになります。他の2人がペアを組み、防御チームになります。
誰も交換を受け入れなかった場合は、配り直しになります。
👉「マリッジ」
「マリッジ」宣言したプレイヤーと宣言したプレイヤー以外で、最初のトリックに勝ったプレイヤーがパートナーになり、攻撃チームになります。
「マリッジ」宣言したプレイヤーが最初の3トリックを3連勝した場合、「マリッジ」宣言したプレイヤーが攻撃側になり、他の3人がトリオになり、防御チームになります。
プレイ
ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ずそのスートを表向きにして場に出します。
該当のスートが複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
ない場合は、切り札を含めて好きなカードを出せます。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
切り札が出ていない場合は、リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
切り札が出ている場合は、切り札スートで一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
1トリックで同じスートで同じランクのカードが2枚出ている場合は、先出し勝ちになります。
勝ったプレイヤーは場のカードを全て裏向きにして、自分の脇に置きます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
全員の手札がなくなったら1ディール終了になります。
プレイ中(プレイ前)の宣言
プレイ中またはプレイ前に次の宣言をすることができます。
この宣言は誰でも宣言することができます。また自分の番でなくても宣言することができます。
ただし同じチームが同じ宣言を2回以上することはできません。
また宣言する際、自分が攻撃側か防御側かを明かしていない場合は、このときに正体を明かす必要があります。
レー(Re):
攻撃チームだけが宣言することができます。この宣言をすると勝ったプレイヤーまたはチームの得点が増えます。
この宣言をするは、宣言するプレイヤーの手札が11枚以上(2トリック目でカードを出す前まで)あれば、いつでも宣言することができます。
ただし相手がコントラ宣言をした場合は、手札が10枚以上(3トリック目でカードを出す前まで)あれば、いつでも宣言することができます。
コントラ(Contra):
防御チームだけが宣言することができます。この宣言をすると勝ったプレイヤーまたはチームの得点が増えます。
この宣言をするは、宣言するプレイヤーの手札が11枚以上(2トリック目でカードを出す前まで)あれば、いつでも宣言することができます。
ただし相手がレー宣言をした場合は、手札が10枚以上(3トリック目でカードを出す前まで)あれば、いつでも宣言することができます。
コントラ宣言がされ、レー宣言がなかった場合は、攻撃チームは120点以上取れば勝ち、防御チームは、121点以上取れば勝ちになります。
90:
相手チームが90点以下しか取れないと思った場合この宣言をします。
この宣言をするは、その前にコントラやレーを宣言している必要があります。コントラやレー宣言した後、すぐさま「90」の宣言をしてもかまいません。
コントラやレー宣言した後で、かつ手札が10枚以上(3トリック目でカードを出す前まで)あれば、いつでも宣言することができます。
60:
相手チームが60点以下しか取れないと思った場合この宣言をします。
この宣言をするは、その前に「90」を宣言している必要があります。「90」を宣言した後、すぐさま「60」の宣言をしてもかまいません。
「90」宣言した後で、かつ手札が9枚以上(4トリック目でカードを出す前まで)あれば、いつでも宣言することができます。
30:
相手チームが30点以下しか取れないと思った場合この宣言をします。
この宣言をするは、その前に「60」を宣言している必要があります。「90」、「60」を宣言した後、すぐさま「30」の宣言をしてもかまいません。
「30」宣言した後で、かつ手札が8枚以上(5トリック目でカードを出す前まで)あれば、いつでも宣言することができます。
シュワルツ(Schwartz):
相手チームが1トリックも取れないと思った場合この宣言をします。
この宣言をするは、その前に「30」を宣言している必要があります。「90」、「60」、「30」を宣言した後、すぐさま「シュワルツ」の宣言をしてもかまいません。
「30」宣言した後で、かつ手札が7枚以上(6トリック目でカードを出す前まで)あれば、いつでも宣言することができます。
「90」、「60」、「30」、「シュワルツ」の宣言があった後で、相手チームがまだコントラやレー宣言をしていない場合、手札の枚数条件を無視して宣言することができます。
つまり相手が宣言後一巡遅くれで宣言することができます。
例えば相手チームが手札9枚で「60」を宣言した場合、手札が8枚の状態でコントラやレー宣言をすることができます。
マリッジ宣言でパートナーが決まらなかった場合、プレイ中(プレイ前)の宣言をすることができません。
2トリック目でマリッジ宣言のパートナーが決まった場合、上記全ての宣言のタイムン具が1枚分少なくなります(1トリック分遅れます)。
3トリック目でマリッジ宣言のパートナーが決まった場合、上記全ての宣言のタイムン具が2枚分少なくなります(2トリック分遅れます)。
例えば、3トリック目でマリッジのパートナーが決まった場合、レー宣言は手札が9枚以上(4トリック目でカードを出す前まで)あれば、いつでも宣言することができます。
得点
通常ゲームの場合、121点以上取ったチームの勝ちとなります。
同点以下の場合は防御チームの勝ちになります。
ただし、コントラの宣言がありレーの宣言がない場合には、同点は攻撃チームの勝ちとなります。
90、60、30、シュワルツの宣言があった場合には、宣言通りの結果になったときには宣言したチームの勝ち、そうでない場合には121点以上取っていても相手チームの勝ちとなります。
両方のチームがこのような宣言を行っていた場合で、どちらの宣言の通りにもならなかったときには、引き分けになります。
勝ったチームの得点は、次の点数のうち、あてはまる点数をすべて合計したものになります。
負けたチームは、勝ったチームの獲得した得点分マイナスになります。
コントラ、レーだけでなく、90宣言、60宣言、30宣言、シュワルツ宣言についても、両方のチームの宣言がすべて点数になります。
例えば、両方が90宣言をした場合には、それぞれのチームの宣言について1点計上されます。
ボーナス得点
上記得点とは別に、勝敗関係なく次の得点がつきます。
👉「フォックス(Fuchs gegagen)」:1点
相手チームが出した♦A(フォックス)を取ったときにつきます。
取った♦Aは後で分かるように表にしておきます。
♦Aを出したプレイヤーが敵か味方かまだ分からないときには、とりあえず表にしておいて、味方だと分かったら裏返すようにします。
攻撃チームが1人のときにはこの点数はありません。
👉「チャーリー(Karlchen Muller,英Charlie Miller)」:1点
最後のトリックを♣Jで勝ったときにつきます。
最後のトリックに♣Jを出して、相手チームに取られたときには、相手チームにつきます。
最後のトリックに♣Jを出して、パートナーに取られたときには、どちらにも点数はつきません。
攻撃チームが1人のときにはこの点数はありません。
👉「ドッペルコップ(Doppelkopf)」:1点
1つのトリックでプレイされたカードが、全てAか10であるときに、このトリックに勝ったチームにつきます。このとき、後で分かるように、取ったカードの1枚を表にしておきます
攻撃チームが1人のときにはこの点数はありません。
ゲーム終了
ゲーム終了条件は特に決まっていません。
予めディール数などを決めておいてください。
トーナメントルール
トーナメント戦では24ディール行います。うち20ディールは普通のルールで行いますが、残り4ディールは強制的にソロでプレイします。
5人の場合は、25ディール行い、うち5ディールが強制ソロセッションになります。
各プレイヤーは 1 つの「強制」ソロをビッドする必要があります。
各プレイヤーがビッドした最初のソロは強制ソロとしてカウントされ、リードを獲得します。そのディール終了後、同じディーラーが再びディーラーになります。
強制的なソロは、ビッドにおいて、それ以外のソロよりも上位のビッドになります。
複数のプレイヤーが強制ソロをプレイしたい場合は、ビッド順で最も早いプレイヤーが強制ソロをプレイします。
プレイヤーがセッション終了までにソロをビッドできなかった場合、ソロをビッドしなければならない追加のハンドが配られます。
バリエーション
👉1.同じトリックで♥10が2枚出た場合、後出し勝ちになります。
さらにバリエーションで:最後のトリックを除いて、同じトリックで♥10が2枚出た場合、後出し勝ちになるという、ルールもあります。この場合最後のトリックで♥10が2枚出た場合、先出し勝ちになると思われます。
👉2.複数のプレイヤーがソロをビッドしたい場合、後からビッドするプレイヤーは「 90」と宣言することができます。
最初のプレーヤーはパスして 2 番目のプレーヤーにソロでプレーさせるか、ビッドを保留して自分自身が 90 を宣言してプレーすることができます。2番目のソロ宣言では「60 」をアナウンスすることもできます。最初のプレーヤーは同じアナウンスを行うことでこれを保持することができ、その後、「30」や「シュワルツ」でビッドに勝つことができます。
40枚ドッペルコップ
Board Game geekで投稿されたバリエーションを紹介します。
通常のドッペルコップと異なる点を紹介します。
👉プレイ人数:4人
👉使用するカード:通常のトランプ2組使用します。それぞれジョーカーと各スートのA,K,Q,J,10を使います。全部で40枚になります。
👉カードの強さ:それぞれの強さは次の通りです。
切り札:♥10>♣Q>♠Q>♥Q>♦Q>♣J>♠J>♥J>♦J>♦A>♦10>♦K
♣:♣A>♣10>♣K
♠:♠A>♠10>♠K
♥:♥A>♥K
※切り札以外はスート間の強弱はありません。
カードの得点は変更ありません。
👉ゲームの目的:121点以上を取ること
このゲームは時計回りに進行します。
ゲーム終了条件は特に決まっていません。予めディール数など決めておいてください。
👉ディール:各プレイヤーの手札は10枚になります。
👉配り直し:手札のカードの得点が84点以上、または手札に切り札が2枚以下の場合、全員に手札を公開して、配り直しを要求することができます。
👉ビッドのソロ宣言:「ソロ」宣言があった後でも、「ソロ」を宣言することができます。
その場合は、より強いソロ宣言をする必要があります。
ソロ宣言の強さは:
ノートランプ>Jソロ>Q・Jソロ>Qソロ>スートソロ
になります。
Q・JソロはQとJの16枚だけが切り札になる宣言です。
またソロ宣言に「レー宣言あり」または「レー宣言なし」をすることで同じソロ宣言より強い宣言することができます。「レー宣言なし」の方が「レー宣言あり」より強い宣言になります。
例えばQソロの後に、Qソロ・レー宣言ありが宣言することができます。その後Qソロ・レー宣言なしを宣言することができます。
👉プレイヤー中(プレイ前)の宣言:レー、コントラ、「90」、「60」、「30」、シュワルツ宣言は5枚目をプレイする前であれば、宣言できるようです。
👉ボーナス得点:
以下のボーナスが追加されています。
・最後のフォックス:最後のトリックで相手がだした♦Aを取った時に2点つきます。
・防御チームの勝利ボーナス:防御チームが勝った場合、1点つきます。
参考書籍・参考サイト
トランプ大全