2023年5月19日金曜日

ソリティア・ジンラミー(Solitaire gin rummy)

 ソリティア・ジンラミーは、Karen Deal Robinson氏が創作したゲームです。

このゲームでは「ジョーカー」が仮想の相手になります。

👉人数:1人

👉使用するトランプ:ジョーカー1枚と通常のトランプ52枚。全部で53枚になります。

👉カードの大きさ:(小)A>2>3>4>5>6>7>8>9>10>J>Q>K(大)

👉ゲームの目的:ジョーカーを引く前に「ジン」または「ビッグジン」を成立させること

👉ゲーム終了条件:特にきまっていません。プレイするディール数などを決めておきましょう。



カードの点数

各カードの点数は下記の通りです。
  • A:1点
  • 2~10:数字通りの点数
  • J,Q,K:各10点
手札の中で次の手役を作ると、手役で使ったカードの点数が0点になります。
  • 同じランクのカード3枚または、同じランクのカード4枚
 例)K,♣K,♠Kまたは、9,♣9,♠9,9
  • 同じスートでかつ、連続した3枚以上のカード(以降シークエンス)
例)♣10,♣J,♣Qまたは、10,J,Q,K

同じスートのA,2,3はシークエンスになりますが、Q,K,AやK,A,2はシークエンスになりません。

 

ディール

トランプから全てのジョーカーを取り除き、裏向きにしてシャッフルします。
シャッフルした後、11枚を自分の前に裏向きのまま配ります。
残ったカードにジョーカー1枚を加え、裏向きのままシャッフルして1カ所に重ねて山札にします。
山札の左脇が捨て札置き場になります。
自分の前に配った11枚を手札にします。

プレイ

プレイの最初は手札から1枚捨て札にします。捨て札は捨て札置き場に裏向きにして置きます。
それ以降は次の2つのうち、いずれか1つを選択してプレイします。
裏向きにした捨て札の内容は確認することはできません。
  1. 山札の一番上のカードを手札に加える
  2. 捨て札の一番上のカードを手札に加える
その後手札から1枚捨て札にします。捨て札は裏向きにして捨て札置き場の一番上に重ねます。
1ディールの終了条件になるまでプレイを続けます。
捨て札した後の手札のカードの点数の合計が10以下であれば、テーブルを叩いて(ノックして)1ディールを終了させることができます。これを「ジン」と呼びます。
手札のカードの点数の合計が10以下でも、そのままプレイを続けることもできます。
捨て札をする前に(手札が11枚状態で)カードの点数の合計が10以下の場合、捨て札をせずにノックすることができます。これを「ビッグジン」と呼びます。
ビッグジンでも手札から捨て札をしてプレイを続けることもできます。

1ディールの終了条件

次のうちいずれかが起きた時点で1ディール終了になります。
  • 山札からジョーカーを引いた
  • ノックした

得点

・山札からジョーカーを引き、手札の合計が10以下の場合:山札から引いたカードの枚数が自分の得点になります。
・山札からジョーカーを引き、手札の合計が11以上の場合:手役に使っていないカードの得点の合計が「ジョーカー」の得点になります。
・ジョーカーを引く前に、ノックして「ジン」が成立:山札から引いた枚数に25点を加えた点数が自分の得点になります。
・ジョーカーを引く前に、ノックして「ビッグジン」が成立:山札から引いた枚数に31点を加えた点数が自分の得点になります。

ゲームの終了

事前に決めたゲームの終了条件になったらゲーム終了です。
得点の合計点が「ジョーカー」より多ければ、プレイヤーの勝利になります。

バリエーション

バリエーションその1
ディールを次のように変更します。
トランプから全てのジョーカーを取り除き、裏向きにしてシャッフルします。
シャッフルした後、11枚を自分の前に裏向きのまま配ります。
残ったカードを裏向きのまま、おおよそ半分ぐらいのところで二山に分けます。
そのうち1山にジョーカー1枚を加え、裏向きのままシャッフルします。
その後ジョーカーを加えていない方の1山をジョーカーを混ぜた山の上に重ねます。これが山札になりす。
自分の前に配った11枚を手札にします。
バリエーションその2
このバリエーションではジョーカー3枚が必要になります。
まずディールを次のように変更します。
トランプから全てのジョーカーを取り除き、裏向きにしてシャッフルします。
シャッフルした後、11枚を自分の前に裏向きのまま配ります。
残ったカードを裏向きに4枚捨て札にした後に3枚のジョーカーを加えて、裏向きのままシャッフルします。
このときの4枚の捨て札は、裏向きのまま捨て札置き場に重ねておきます。
シャッフルした後裏向きのまま1カ所に重ねて山札にします。
自分の前に配った11枚を手札にします。
1ディールの終了条件が次のように変更になります。
次のうちいずれかが起きた時点で1ディール終了になります。
  • 山札から2枚目のジョーカーを引いた
  • ノックした
個人的には、プレイの最初に4枚捨て札と手札と交換しても良い気がしました。
その場合、4枚の捨て札を裏向きに脇に置き、手札と交換するかどうか決めます。
交換しない場合は、裏向きのまま4枚を捨て札置き場に重ねておきます。
交換する場合は、手札から4枚まで(1枚でもかまいません)裏向きに捨て札置き場に置いた後、手札が11枚になるよう、脇に置いた4枚から補充します。
余ったカードは捨て札置き場に裏向きにして重ねておきます。

参考サイト

2022年12月25日日曜日

ベア(Bear)

ベア(Bear) は、John Burton氏が考案した、トランプを使ったトリックテイキングゲームです。
ベアはスカートをベースにしつつ、ホイスト、スペード、500、ハーツなどプレイヤーにとってなじみ深い用語に置き換えたそうです。

👉人数:3人

👉使用するカード:通常のトランプより以下のカードを取り除きます。
  • 各スートの2~4
  • ♣A,♣K,♣Q,♣J
  • A,K,Q,J
  • ジョーカー
使用するカードは全部で32枚になります。
カードの強さ:A>K>Q>J>10>9>8>7>6>5
カードの強さは後述するゲームの選択によって変わります。

👉ゲーム終了条件は特に決まっていません。プレイするディール数などを決めておきましょう。

このゲームは時計回りに進行します。



カードの得点

各カードの得点は下記の通りです。
  • K:各5点
  • Q:各3点
  • J:各2点
  • 10:各10点
  • 5:各5点
  • 上記以外:0点
1ディール終了後、同じスートのQとJ(母熊と子熊)を獲得した場合、追加で5点獲得します。この追加点を「ボンド」(絆)と呼びます。
1ディール終了後、2枚のQと2枚のJを獲得した場合、追加で20点獲得します。この追加点を「ビッグ・ボンド」(大きな絆)と呼びます。

ディール

最初のディーラーは適当な方法で決めます。以降ディーラーは、時計回りに交代します。
ディーラーはシャッフルした後、各プレイヤーに3枚ずつ裏向きのまま配ります。
次にテーブルの中央に裏向きのまま2枚置きます。この2枚を「キティ」と呼びます。
その後各プレイヤーに4枚ずつ裏向きのまま配ります。
最後に各プレイヤーに3枚ずつ裏向きのまま配ります。
各プレイヤーの手札は10枚になります。

ビッド

ディーラーの左隣のプレイヤーからビッドをします。
ビッドは時計回りに1周のみ行います。
ビッドは自分が獲得できるであろう得点を宣言した上でゲームを1つ選択するか、またはパスをします。
「ヌル」を宣言する場合は得点を宣言する必要はありません。
ビッドする場合は、最低でも40以上を宣言しなければなりません。
前のプレイヤーがビッドした場合は、直前のビッドより上回る数字を宣言します。
数字を上げる場合は5刻みで上げます。
1周した後、最も高いビッド数を宣言したプレイヤーがデクレアラーになります。
ちなみに最も高いビッドは100点、次に強いビッドは「ヌル」宣言になります。
もし全員ビッドすることなくパスした場合は、カードを配り直すか、または「スロップラウンド」をプレイします。
どちらにするかは、全員が合意の上で決めます。

ゲームの選択

デクレアラーが選択したゲームがこのディールでプレイするゲームになります。
ビッドで「ヌル」宣言した場合は、自動的にヌルゲームになります。
  • スートゲーム:できるだけトリックを取るゲームです。デクレアラーは切り札を1つ決めます。ノートランプ(切り札なし)にすることはできません。
  • グランド・レッド、またはグランド・ブラック:できるだけトリックを取るゲームです。宣言した色に応じてカードの強さが決まります。
  • ヌル:ノートランプ(切り札なし)になります。デクレアラーは1トリックも取らないことが目標になります。

カードの強さ

デクレアラーが選択したゲームによってカードの強さが次のように決まります。
切り札があるゲームの場合、必ず絵札(A,K,Q,J)は切り札になります。
  1. スートゲームで切り札を♠にした場合:
    • 切り札:♠A>A>♠K>K>♠Q>Q>♠J>J>♠10>♠9>♠8>♠7>♠6>♠5
    • それ以外:カードの強さ順です。
  2. スートゲームで切り札を♣にした場合:
    • 切り札:♠A>A>♠K>K>♠Q>Q>♠J>J>♣10>♣9>♣8>♣7>♣6>♣5
    • それ以外:カードの強さ順です。
  3. スートゲームで切り札をにした場合:
    • 切り札:A>♠A>K>♠K>Q>♠Q>J>♠J>10>9>8>7>6>5
    • それ以外:カードの強さ順です。
  4. スートゲームで切り札をにした場合:
    • 切り札:A>♠A>K>♠K>Q>♠Q>J>♠J>10>9>8>7>6>5
    • それ以外:カードの強さ順です。
  5. グラントゲーム・レッドを選択した場合:
    • 切り札:A>♠A>K>♠K>Q>♠Q>J>♠J
    • それ以外:カードの強さ順です。
  6. グラントゲーム・ブラックを選択した場合:
    • 切り札:♠A>A>♠K>K>♠Q>Q>♠J>J
    • それ以外:カードの強さ順です。
ヌルゲームでは切り札はありません。カードの強さ順になります。

キティ

デクレアラーはキティ2枚を他のプレイヤーに見せないよう、手札に加えます。
その後、手札か2枚裏向きにして場の中央に捨てます。このとき手札に加えたキティ2枚を捨ててもかまいません。
キティのカードの得点はディール終了後、デクレアラーの得点に加算されます。

プレイ

ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ずそのスートを表向きにして場に出します。
該当のスートが複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
ない場合は、切り札を含めて好きなカードを出せます。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
  • 切り札が出ていない場合は、リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
  • 切り札が出ている場合は、切り札スートで一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場のカードを全て裏向きにして、自分の脇に置きます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
全員の手札がなくなるか、またはデクレアラーの敗北が確定した瞬間、1ディール終了になります。

得点

1ディール終了後、デクレアラーはトリックで取ったカードの得点、ボンドまたはビッグ・ボンドの得点、キティの得点を合計します。
合計点がデクレアラーがビッドで宣言した点数以上であれば、デクレアラーの成功になります。それ以外はデクレアラーの失敗になります。
ヌル宣言の時は、デクレアラーが1トリックも取らなければ、デクレアラーの成功になります。デクレアラーが1トリックでも取った場合はデクレアラーの失敗になります。
デクレアラーの成否により、各プレイヤーの得点は下記表の通りになります。


スロップラウンド

もし全員ビッドすることなくパスした場合は、全員合意の上で「スロップラウンド」のゲームをすることができます。
スロップラウンドでは切り札はありません。カードの強さ順になります。
このゲームはできるだけ得点を取らないゲームになります。
1ディール終了後、各自取ったカードの得点計算をします。このときボンド、ビッグボンドの得点も加算します。
キティは誰のものにもなりません。
各プレイヤーの得点は次のようになります。
  • もっと高い合計点のプレイヤーの得点ー自分の得点

ゲーム終了

プレイ前に決めたディール数また点数以上二達したらゲーム終了です。
最も合計点が高いプレイヤーの勝利になります。同点は引き分けです。
作者の推奨は12ディール、または500点以上先取です。

参考サイト


2022年12月22日木曜日

スパー(Spar)

スパーはガーナでよく遊ばれているトリックテイキングゲームです。
通常は2~4人までで遊びますが、最大7人まで遊ぶことができます。

👉人数:2~7人(通常は2~4人)

👉使用するトランプ:通常のトランプより各スートの2~5、♠A、ジョーカーを除きます。全部で35枚になります。

👉目的:最後のトリックで勝つこと

👉カードの強さ:

♠以外:6>7>8>9>10>J>Q>K>A

♠:6>7>8>9>10>J>Q>K

切り札はありません。

👉ゲーム終了条件は特に決まっていません。プレイするディール数などを決めておきましょう。
プレイする前にチップを用意してください。
またプレイの進行は時計回りでも反時計回りでもプレイされているようです。
このブログでの説明は時計回りで説明します。



ディール

適当な方法で最初のディーラーを決めます。次のディール以降は前のディールの勝者がディーラーになります。
ディーラーは裏向きのまま3枚ずつ、左隣のプレイヤーから時計回りに配ります。その後裏向きのまま2枚ずつ、左隣のプレイヤーから時計回りに配ります。
ディールの配り方は裏向きに1枚ずつでもかまいません。
各プレイヤーの手札は5枚になります。
残ったカードはこのディールでは使用しません。裏向きのまま山札にして1カ所に集めておきます。

プレイ

ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ずそのスートを表向きにして場に出します。
該当のスートが複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
全員の手札がなくなるまでプレイを続けます。
手札がなくなったら、1ディール終了です。

勝者と得点

最後のトリック(5トリック目)に勝ったプレイヤーがこのディールの勝者になります。
勝者は他の各プレイヤーから次のように1~3点獲得します。
  • 最後のトリックで「6」で勝った:3点
  • 最後のトリックで「7」で勝った:2点
  • 上記以外で最後のトリックに勝った:1点

バリエーション

いくつかのバリエーションがあります。
  • ♠Aを加えた36枚を使う(各スートの2~5を除く)
  • 各プレイヤーの手札を7枚にする。その場合最後のトリックが7トリック目になる
  • 「10未満のルール」:各プレイヤーに5枚ずつ配られた際、一番強いカードが9以下の場合、配り残りのカードと交換することができます。交換する場合は、手札5枚全てを裏向きのまま捨て札にして、配り残りの山札から手札を5枚補充します。手札7枚の時でもこのバリエーションを採用できると思われます。
  • 4トリック目のプレイ中(手札7枚の時は、6トリック目のプレイ中)、山札の一番下のカード1枚の公開を請求することができます。他のプレイヤー全員が賛成すれば、山札の一番下カード1枚を公開します。
Alexey Lobashev氏がガーナのJoseph Essilfy氏のルールでは、最後の2トリック(3トリック目、5トリック目。7枚の場合は6トリック目、7トリック目)で「6」または「7」で買った場合、他の各プレイヤーから次のように得点を獲得します。
  • 最後の2トリック両方とも「6」で勝利:6点
  • 最後の2トリック両方とも「7」で勝利:4点
  • 上記以外で最後の2トリックを「6」または「7」で勝利(7-6または6-7):5点
1ディール終了後、上記プレイヤーが勝者になり、最後のトリックの得点に上記の得点を追加します。
つまり:
  • 最後の2トリック両方とも「6」で勝利:合計9点を他のプレイヤー全員から獲得
  • 最後の2トリックを7-6で勝利:合計8点を他のプレイヤー全員から獲得
  • 最後の2トリックを6-7で勝利:合計7点を他のプレイヤー全員から獲得
  • 最後の2トリック両方とも「7」で勝利:合計6点を他のプレイヤー全員から獲得
  • 上記以外で最後のトリックに勝った:合計1点を他のプレイヤー全員から獲得
になります。
この得点方式を採用する場合、紙で記録しこのディールまでの合計点の左隣に"C"を記載します。
例えばこれまでの合計が14点の場合、"C14"と記載します。
このゲームはプレイする前に合意の上で合計30点以上獲得でゲーム終了にします。
また紙ではなく、石をチップ代わりにしてプレイすることもあるようです。

Jeu de Carte in Benin

ベナンではフランス語で「カードゲーム」おいう意味で、似たようなゲームがあります。
上記ルールとの違いは次のようになります。
  • ♠Aと各スートの2~6を除いた31枚を使用します。
  • プレイしたカードはテーブルの中央ではなく、自分の前に出します。リードされたスートがない場合、手札から好きなカード1枚裏向きにして出します。
  • 最後のトリックに「7」で勝った場合、他のプレイヤー全員から2点を獲得します。それ以外のカードで最後のトリックに勝った場合、他のプレイヤー全員から1点を獲得します。
  • プレイする前に合意の上で合計24点以上獲得でゲーム終了にします。

Sipa in Togo

トーゴの農作業のない乾季の農村地域で人気のあるゲームです。
上記ルールとの違いは次のようになります。
  • ♠Aと各スートの2~6を除いた31枚を使用します。
  • 反時計回りでプレイします。
  • 各プレイヤーの手札は5枚になります。
  • 経験があるプレイヤー2人でプレイする場合、リードの際必ず勝つカードがある場合は、そのカードともう1枚、計2枚を出します。
  • 最後のトリックに「7」で勝った場合、他のプレイヤー全員から2点を獲得します。それ以外のカードで最後のトリックに勝った場合、他のプレイヤー全員から1点を獲得します。
  • 1トリック終了後、プレイしたカードは表向きのまま1カ所に集められます。次のトリック以降、プレイ済みに集められた場所の上に出します。
  • 1ディール終了後、次のように得点を獲得します。
    • 勝者が最後の 3 トリック全てを「 7 」で勝てば6 点
    • 勝者が最後の 2 トリック全てを「 7」で勝った場合は4点
    • 勝者が最後の トリックを「 7」で勝った場合は2 点
    • 勝者が上記以外で最後のトリックに勝った場合は1点
  • 1ディール終了後、いずれか1人が合計10点以上獲得すれば、ゲーム終了になります。一番合計点が高いプレイヤーの勝利です。プレイする前に終了条件を合計6点以上、合計12点以上、または合計24点以上にすることができます。

Agram

Agramはニジェール共和国で生まれたとされるトリックテイキングゲームです。
スパーと関連のあるゲームです。
マリの北部、トンブクトゥ、キダルでプレイされています。またカメルーンではfapfapという名前で知られています。
プレイ人数は明記されておりません。
最初にニガール共和国でプレイされているルールを紹介します。またスパーと異なる点だけを紹介します。
  • 使用するカード:通常のトランプより各スートのJ,Q,K,2と♠A、ジョーカーを除いた35枚。♠Aは「チーフ」と呼ばれています。
  • カードの強さ:10>9>8>7>6>5>4>3>A
  • 反時計回りでプレイ
  • カードは裏向きに3枚ずつ、計2回配ります。各プレイヤーの手札は6枚になります。
  • 1ディール終了でゲーム終了となるようです。最後のトリックに勝ったプレイヤーの勝利になります。得点は発生しません。

Sink-Sink in Niger

各プレイヤーの手札は5枚になります。
ディールでは最初に2枚ずつ裏向きにして各プレイヤーに配り、その後3枚ずつ裏向きにして各プレイヤーに配ります。
それ以外は上記と同じです。

Fapfap in Cameroon

最近になってニガール共和国からカメルーンに伝わったゲームです。
お金を賭けてプレイしているようです。
ニガール共和国のAgramと異なる点を紹介します。
  • 5トリック目と6トリック目に勝ったプレイヤーが得点を獲得します。
  • プレイしたカードは自分の前に置きます。
  • 最後の2トリックともに3で勝ったプレイヤーは、賭け金の4倍貰える
  • 最後のトリックを3で勝ったプレイヤーは、賭け金の2倍貰える
  • 上記以外で最後のトリックを勝ったプレイヤーは、賭け金分だけ貰える

Agram in Mali

ニガール共和国のAgramと異なる点を紹介します。
  • 使用するカードは通常のトランプより各スートの2~6と♠A、ジョーカーを除いた31枚。
  • 通常のカードの強さ:7>J>8>9>Q>10>K>A(場所により異なるようです)
  • 各プレイヤーの手札は6枚になります。



余談

スパーにつきまして:
ガーナではディーラーがシャッフルしている際、相手プレイヤーが「ストップ」("Bra")を宣言して、シャッフルを止めるそうです。
またフィンランドでは"Viimeinen tikki"としてこのゲームが記載されています。
異名同ゲームなのか、似たようなゲームなのか、スパーとの関連性はわかりません。
ゲームファームと記載が異なっていますが、どちらが本来のルールかはわかりません。
スパー、Agramを地図でピン止めしました。

参考サイト

👉スパー
👉Agram

2021年12月16日木曜日

フィプセンの深い話


今回はフィプセンとそのバリエーションゲームを紹介します。

かなり濃い話になりそうですので、最初によく日本で遊ばれているフィプセンのゲームの説明をします。
現在日本で遊ばれているフィプセンは、プリスドルフのルールと思われます。

インデックス

長い文章になりますので、インデックスを作りました。
・インデックスはこちら
<フィプセン>


フィプセン(Fipsen)

フィプセンは18世紀後半から19世紀初頭に登場するトランプゲームです。
ただこのゲームは色々な名前で呼ばれていたようです。
フィプセンは現在でもドイツのシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州でプレイされており、2017年ドイツのピンネブルグで、2020年ドイツのグローナスペでフィプセンのトーナメントが行われたそうです。
トーナメントが行われた会場は、2021年3月末で閉鎖されたようです。

👉人数:3.4人。個人戦になります。
まず4人で説明します。3人の時については、後述します。

👉使用するトランプ:通常のトランプより次のカードだけ使用します。
  • ダイヤ:7
  • それ以外のスート:7,8,9,10,J,Q,K,A(2~6を除きます)

👉目的:宣言したビッドを成功させ得点をとること。
このゲームは終了条件が特に決まっていません。
プレイする前にディール数など決めてください。

👉カードの強さ:A>K>Q>J>10>9>8>7
このゲームは時計回りに進行します。


ディール

じゃんけんなど適当な方法で最初のディーラーを決めます。
以降ディーラーは時計回りに持ち回りで交代します。
カードの配り方は次の通りです。
  1. ディーラーは時計回りに各プレイヤーに3枚ずつ、裏向きのまま配ります。
  2. その後ディーラーは、テーブルの中央に裏向きのまま2枚起きます。このカードを「スカート」と呼びます。
  3. さらにディーラーは、時計回りに各プレイヤーに2枚ずつ配ります。
  4. 余った3枚は裏向きのまま、テーブルの脇に置きます。
各プレイヤーの手札は5枚になります。

ビッド

フィプセンのビッドは、1対1の勝ち抜き形式で行います。
ディーラー左隣のプレイヤーが最初の「親」になります。
親はパスかビッドを宣言します。ビッドをする場合は、以下の方法のいずれか1つを選択して宣言します。
  • 最低2以上で、自分が取れるであろうトリック数を宣言する
  • 最低2以上で自分が取れるトリック数に加え、オプションを付ける
  • 特殊な宣言をする
オプション
オプションは次の3つになります。オプションは複数付けることができます。
オプションの宣言を1つ追加するごとに得点が倍になります。
つまりオプション1つで2倍、オプション2つで4倍、オプション3つで8倍になります。
  • ルーテン:切り札をにする(は1枚しかありません)。手札にがなくても宣言できます。
  • ハンド:ハンドの2枚と交換しないでプレイする
  • ドゥルヒ:ビッドで宣言したトリック数に関係なく、全5トリックを取る
ビッドで5を宣言した場合、ドゥルヒは自動的につきます。
親がビッドした後、親の左隣のプレイヤーはそれより強いビッドを宣言したするか、またはパスをします。
より強い宣言をする場合は、親の宣言したトリック数より多い数を宣言するか、同じトリック数でオプションを付けるかになります。
ただしオプションは最大3つしか付けられません。
親の左隣のプレイヤーがより強い宣言をした場合、親は次のうちいずれか1つを宣言します。
  • より強いビッドを宣言する
  • ホールドを宣言する
  • パスをする
ホールドは相手と同じビッドを宣言したことになります。
オプション付きのビッドでホールドを宣言した場合、オプションの付けた数は守らなければなりませんが、後で付けるオプションを変えてもかまいません。
いずれか1人がパスをするまでビッドを続けます。
いずれか1人がパスをした場合、残ったプレイヤーが「親」になって、残りのプレイヤーでより左隣にいるプレイヤーと1対1のビッドをします。
ビッドは1人残るまで続けます。残った1人がデクレアラーになります。
4人全員パスした場合は配り直しになります。その場合ディーラーは交代しません。
特殊な宣言
✅キーカー:手札に絵札(K,Q,J)が1枚もないときのみ宣言できます。Aはあってもかまいません。
キーカーは4と5の中間の強さになります。キーカーは全5トリック取るという宣言になります。
キーカーは全トリック成功すれば10点、失敗すると-20点になります。
キーカーはルーテンを付けることができます。
ルーテンを付けた場合、得失点は倍になります。
✅ズィーペナーフィプス:手札に「7」が4枚、Aが1枚あるときのみ宣言できます。この宣言をした瞬間、該当のプレイヤーは手札を見せて30点獲得します。
ズィーペナーフィプス宣言した場合、プレイすることなく1ディール終了となります。
ズィーペナーフィプス宣言は、手札の交換の後でも宣言できます。


プレイ

キーカーについては後述します。
デクレアラーはプレイする前に、ハンドと交換するかしないかを選択します。
ただし、ビッドで「ハンド」をオプションで付けた場合、ハンドとの交換はできません。
交換しなかった場合、自動的に「ハンド」がつきます。
交換する場合は、ハンドの2枚を手札に加えた後、2枚裏向きにして捨て札にします。
その後、デクレアラーは切り札を宣言します。
ただし、ビッドでルーテンをオプションで付けた場合、が自動的に切り札になります。切り札の宣言は不要です。
切り札をにした場合、自動的に「ルーテン」がつきます。
デクレアラーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ずそのスートを表向きにして場に出します。
該当のスートが複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
ない場合は、切り札を含めて好きなカードを出せます。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
  • 切り札が出ていない場合は、リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
  • 切り札が出ている場合は、切り札スートで一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは出したカードを裏向きにして、自分の脇に縦に置きます。
負けたプレイヤーは出したカードを裏向きにして、自分の脇に横向きにして置きます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
デクレアラーはビッドで宣言したトリック数に達していて、かつ1トリックも負けていない場合、このまま続けることができます。
続ける場合は、全トリックを取ることになります。この場合、自動的に「ドゥルヒ」がつきます。
止める場合は、他のプレイヤーにわかるように止めることを宣言します。
デクレアラーが止めるを宣言した場合、またはデクレアラーが宣言したトリック数を取れないことがわかった時点で1ディール終了します。

キーカー
デクレアラーは、左隣のプレイヤーに絵札(K,Q,J)が1枚もないことを確認してもらいます。
その後デクレアラーはハンド2枚と配り残りの3枚を手札に加えた後、裏向きにして5枚捨て札にします。
手札の交換するかしないかは自由です。交換してもしなくても得失点に影響はありません。
デクレアラーは手札を交換した後、全トリック取る自信がなければ降参することができます。
降参した場合、-5点になります。
降参しなかった場合、デクレアラーは切り札を宣言します。
ただし、ビッドでルーテンをオプションで付けた場合、が自動的に切り札になります。切り札の宣言は不要です。
切り札をにした場合、自動的に「ルーテン」がつきます。
また交換した後(交換する前)、手札が「7」4枚、「A」1枚の場合、ズィーペナーフィプスを宣言します。
宣言した後、他のプレイヤー全員に手札を公開します。
この宣言により30点獲得し、プレイせずに1ディール終了します。
デクレアラーが最初のリードプレイヤーになります。
プレイの仕方は、上述と同じです。
全トリック終了するか、またはデクレアラー以外のプレイヤーが1トリック取ったシュナカンに1ディール終了します。


得失点

1ディール終了後、デクレアラーのみが得失点を獲得します。
オプションを付けなかった場合デクレアラーが成功した場合、宣言したトリック数が得点になります。
オプションを付けている場合は、オプション1つごとに2倍します(2倍、4倍、8倍)。
失敗した場合、デクレアラーは上記の得点分の2倍が失点になります。
キーカーの場合、成功は10点、失敗すると-20点になります。
キーカーでルーテンを付けた場合、得失点は倍になります。
キーカーで降参した場合は、-5点になります。
ズィーペナーフィプスは30点獲得します。
得失点をまとめると、次の表になります。

ゲーム終了

ゲーム終了は特に決まっていません。
プレイする前にディール数を決めてください。
事前に決めたディール数など終了後、ゲーム終了になります。
得点が最も高いプレイヤーの勝利になります。


3人プレイ

3人の場合も各プレイヤーに5枚ずつ配ります。
テーブル中央に裏向きで置くハンドも2枚です。配り残りは8枚になります。
キーカーを宣言した場合、左隣のプレイヤーに手札に絵札を確認してもらいます。
その後手札5枚を裏向きに捨て、ハンド2枚と配り残り8枚、計10枚を手札にします。
10枚の手札から5枚を捨て札にしてから切り札を決めます(または降参します)。
手札の交換するかしないかは自由です。
上記以外は4人と同じです。

トーナメント

トーナメント戦では可能な限り4人ずつ座ります。
参加人数によっては3人1テーブルにして調整します。
トーナメント戦では4人の場合100ディール、3人の場合は120ディールプレイします。

最低ビッド

ビッドで宣言する最低トリック数を3以上に変更します。

コントラ・リコントラ

デクレアラーが切り札を宣言した後、他のプレイヤーは誰でも「コントラ」を宣言できます。
コントラに対し、デクレアラーはレコントラを宣言できます。
コントラは得失点をさらに2倍にします。
レコントラは得失点をさらに4倍にします。
コントラ・リコントラはトーナメント戦では採用されていません。



グローナスペのフィプセン(Fipsen in Großenaspe)

3~5人までプレイできます。最初に4人プレイのルールを説明します。
グローナスペのフィプセンでは、各スート2~6とジョーカーを除いた32枚を使用します。このゲームではシャッフル後のカットは行いません。
ディーラーは時計回りに各プレイヤーに3枚、裏向きのまま配った後、テーブル中央に2枚裏向きに配ります。
その後各プレイヤーに2枚ずつ、裏向きのまま配ります。
配り残りの10枚は裏向きのまま、テーブルの脇に置きます。この2枚をスカートと呼びます。
ディーラー左隣のプレイヤーからビッドをするか、またはパスをします。
ビッドは時計回りに行います(1対1の勝ち抜き形式ではありません)。
ビッドは最低1以上から5までになります。
オプションとして♣を切り札にする「グーテ」を付けることで、同じビッド数より強いビッドになります。
すでにビッドされている場合は、直前のビッドより強いビッドをするか、または同じビッドに「グーテ」をつけるか、またはパスをします。
また特殊なビッドとして次の2つがあります。
  • キーカー:手札に絵札(K,Q,J)が1枚もない場合、このビッドを宣言できます。ビッドの強さは、4のグーテより強く、5よりも弱いビッドになります
キーカーにグーテを付けることができます。
キーカーを宣言した場合、 手札を5枚裏向きに捨て、スカーフ枚と配り残りの10枚を手札に加えます。その後、手札が5枚になるよう、裏向きにして捨て札にします。
手札の交換するかしないかは自由です。
手札の交換の後、切り札を宣言します。♣を切り札にした場合は、自動的にグーテがつきます。
キーカーは全5トリック取れば成功になります。成功した場合、10点獲得します。グーテをオプションに付けた場合(または♣)を切り札にした場合、 得点は20点になります。
プレイする前に降参することもできます。降参した場合、  他のプレイヤー全員に5点ずつ与えます。キーカーを宣言したプレイヤーの得点はありません。
  • フィプス:最も強いビッドになります。このビッドはスカート2枚と交換をしないで、全5トリックを取る宣言になります。フィプスにグーテを付けたビッドが最強のビッドになります。
フィプスの宣言した後、切り札を宣言します。♣を切り札にした場合は、自動的にグーテがつきます。
全5トリック取れば成功になります。成功した場合、20点獲得します。グーテをオプションに付けた場合(または♣)を切り札にした場合、 得点は40点になります。

ディーラー左隣のプレイヤーは最初のリードプレイヤーになります。
プレイは通常のフィプセンと同様です。
デクレアラーがビッドしたトリック数をとった時点で1ディール終了します。
ただし、デクレアラーが1度もトリックを他人に取れていない場合、その時点で続けることもできます。
続けた場合5トリックをビッドした扱いになります。
デクレアラーが1トリックもとっていない場合、デクレアラーが宣言したトリック数をとれないことがわかっていても、デクレアラーがトリックを取るまでゲームは続けます。
1ディール終了後、デクレアラーが宣言したトリック数を取れれば成功、取れなかった場合は失敗になります。
デクレアラーのビッドが成功した場合、ビッドで宣言したトリック数がそのまま得点になります。「グーテ」または切り札を♣にした場合、得点は倍になります。
デクレアラーが失敗した場合、デクレアラーが本来得られる得点を他のプレイヤー全員が獲得します。デクレアラー自身の得点はありません。
もしデクレアラーが1トリックも取れなかった場合、他のプレイヤー全員は5点獲得します。「グーテ」または切り札を♣にした場合、他のプレイヤー全員は10点獲得します。

バリエーション

非公式ルールですが、デクレアラー以外のプレイヤーはプレイする前に、テーブルをノックをすることで、得点を倍にすることができます。
✅3人ルール:Karo Fipsenとして知られています。上述のフィプセンと同様、♦7だけを使った25枚でプレイします。はっきりしたルールはわかっていません。
✅5人ルール:交代で1人抜けて4人でプレイするか、または5人のままで各プレイヤーに5枚ずつくばり、スカート2枚をテーブルに置きます。配り残りは5枚になります。それ以外は4人プレイ時と同様です。
 


テディングハウゼンのフィプセン(Fipsen in Thedinghausen)

5人プレイのみになります。
上記のフィプセンとはかなり異なる点が多いゲームです。
ビッドは行いません。
テディングハウゼンのフィプセンでは、各スート2~6とジョーカーを除いた25枚を使用します。
各プレイヤーは、ゲーム開始時にパンの代金として80セントを支払います。
ゲームの勝者は、賞品であるパンの引換券を受け取ります。もらったパンはその場で食べたり、家に持ち帰っても良いそうです。
ディーラーは時計回りに各プレイヤーに3枚、裏向きのまま配った後、配り残りの1枚を表向きにしてテーブルに置きます。
このカードのスートが切り札になります。
その後各プレイヤーに2枚ずつ、裏向きのまま配ります。配り残りの6枚は裏向きのまま、テーブルの脇に置きます。
切り札表示のカードが「A」の場合、切り札の「7」を持っているプレイヤーは、切り札表示のカードと交換することができます。
ディーラー左隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
プレイは上述のフィプセンと同じです。
このゲームは、通算10トリック以上取ったプレイヤーの勝利となり、1ゲーム終了となります。
1ゲーム終了後、賞品を受け取り再度リセットしてゲーム続けるそうです。
全5トリック取った場合、「ヘドウイッグ(Hedewig)」(レーズンパンのような菓子パンかと思われます)を5つ受け取ります。
また他のプレイヤー全員から1ユーロを受け取ります。その後ゲームを続けます。

メクレンブルグのフィプセン(Mecklenburg Fips)

メクレンブルグの方言辞書に2つのルールが記載されているそうです。
はAのみで、他のスートは各スート2~6とジョーカーを除いた25枚を使用します。
各プレイヤーに5枚ずつ配り、残った5枚はテーブルの中央に裏向きのまま置きます。このカードを「ダット」と呼びます。
2つのルールとも残念ながら得点の明記はありません。

📔アンセガー・フィプス(Anseger Fips)

上述のフィプセンの祖先あたるゲームと思われます。
ビッドは最低1以上から5まで行います。
オプションビッドとしてを切り札にする「ルーテン」を付けることで、同じビッド数より強いビッドになります。
全員パスした場合は配り直しになります。
5をビッドすると「フィプス」になり、「ルーテンの5」が最強のビッドになります。
おそらく「5」をビッドすると、ダットとの交換はできないと思われます。

📔ダット・フィプス(DuttFips)

誰もビッドしなかった場合(全員パスした場合)、ディーラー左隣のプレイヤーはダット5枚を手札に加え、手札が5枚になるよう捨て札にします。
ディーラー左隣のプレイヤーは、単独で最多トリックを散る必要があります。
他のプレイヤーは上記の権利を「ルーテン・ウーバー」宣言し、その権利を奪うことができます。ダットとの交換はできますが、切り札はになります。
5、「ルーテンの5」が最強のビッドになります。この宣言でダットと交換できるかどうかについては、はっきりしていません。



参考文献・参考サイト

・トランプ大全 赤桐 裕二 スモール出版

閑話休題
フィプセンの配り残りの3枚の呼び方、祖先と思われるメクレンブルグのフィプセンでは、「ダット」と呼んでいることより、ダットなのではないかなと想像しています。

2021年12月14日火曜日

あなたの知らないトレセッテ(Tresette)

今回はトレセッテとそのバリエーションゲームを紹介します。
また本来はシチリアデッキを使いますが、通常のトランプで説明します。
シチリアデッキではC(キャバリエ)があり、その一方でJがありません。
通常のトランプを使うにあたり、CをJに読み替えて説明します。
想定より長くなりましたので、インデックスを作りました。

インデックス




トレセッテ(Tressette)

トレセッテは、4人ペア戦のトリックテイキングゲームです。
トレセッテはスリー・セブンという意味のようです。

👉人数:4人ペア戦。向かい合った2人がパートナーになります。

👉使用するトランプ:通常のトランプより各スートの8~10とジョーカーを除きます。全部で40枚になります。

👉目的:21点以上先取

👉カードの強さ:3>2>A>K>J>Q>7>6>5>4

シチリアデッキから読み替えると上記の強さになりますが、カードの強さを次のように変えてもかまいません。

カードの強さ:3>2>A>K>Q>J>7>6>5>4

切り札はありません。
このゲームは反時計回りに進行します。



得点

このゲームでは次のカードを取ると得点になります。
  • A:各1点
  • 3,2,K,J,Q:各1/3点
上記以外のカードは得点がありません、
また最後のトリックを取ると1点になります。

ディール

ジャンケンなど任意な方法で最初ディーラーを決めます。
以降反時計回りで持ち回りで交代します。
ディーラーはシャッフルした後、反時計回りに5枚ずつ、各プレイヤーの手札が10枚になるように配ります。

プレイ

ディーラーの右隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ずそのスートを表向きにして場に出します。
該当のスートが複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
全員の手札がなくなるまでプレイを続けます。
全員の手札がなくなったら、1ディール終了です。

手役

最初のトリック終了後、手札に次のような組合せがあれば宣言して、得点にすることができます。
得点の組合せは、最初のトリックで自分が出したカードを組み合わせてもかまいません。
  • 「3」が4枚、「2」が4枚、「A」が4枚:各4点
  • 「3」が3枚、「2」が3枚、「A」が3枚:各3点
  • 同じスートで3-2-Aの組合せ:各3点
3枚の手役の宣言をする時、手札にどのスートがないかを言う必要があります。
例えば、♣3-♠3-3の手役を出すとき、手札に♦️が1枚もない場合、「♦️は1枚もありません」と言う必要があります。
3-2-Aの組み合わせを宣言するときは、そのスートを宣言します。
また3-2-Aの組合せで使ったカードを、同じランク3枚または4枚で使って得点してもかまいません。
例えば♣3-♣2-♣Aを宣言後、♣3-♠3-3を宣言し、計6点を獲得できます。



シグナル

そのトリックでリードする際、次のシグナルを使うことが許されています。
  • テーブルをノックする、または「ブッソ」を宣言する:リードで出されたスートの一番強いカードをプレイして、勝ったらそのスートでリードしてもらう
  • 「ピオンボ」を宣言する、または手を上げて手札をテーブルに投げ出す:自分がリードで出したスートがその1枚で最後、つまりもう手札にはそのスートがないという意味になります。
  • 「ストリシオ」を宣言する、または出したカードをテーブル上で滑らせる:自分がリードで出したスートのカードが、KまたはKより低いカードが手札に1枚以上あることを意味します。

ゲーム終了

1ディール終了後、いずれかのチームの合計点が21点以上であれば、そのチームの勝利となりゲーム終了となります。
複数ゲーム行う場合は、次のゲームポイント制を導入することもできます。
  • カポット:いずれかのチームが合計で全10トリック取った場合、2ゲームポイント獲得
  • ストラマッチオ:いずれかのチームが全トリック取らずに、全てのカードの得点を獲得した場合(最後のトリックは相手チームが取っていてもかまいません)、3ゲームポイント獲得
  • カポトーネ:1人で全10トリック取ったチームは、6ゲームポイント獲得
  • ストラマッツォーネ:相手チームが1トリックのみで、かつ3人が1点未満(この3人のいずれかが最後のトリックの得点を獲得していてもかまいません)で、1人が他の点数を全て獲得した場合、8ゲームポイント獲得


バリエーション


トレセッテ・コン・ラ・キアマータ・デル・トレ(Tressette con la Chiamata del Tre)

パートナー戦ではなく、4人個人戦にすることもできます。
原文では年長者が最初のリードプレイヤーになりますが、最初のリードプレイヤーは適当な方法で決めて良いと思います。
各プレイヤーの手札が10枚になるよう配った後、リードプレイヤーは最初のリードをする前に、手札の中で「3」がないスートを1つ宣言します。
複数のスートで「3」がない場合は、いずれか1つのスートを宣言します。
宣言したスートの「3」を持っているプレイヤーがパートナーになります。
ただし、パートナーになったプレイヤーは、自分がパートナーになったことを黙ったままプレイします。
そのカードをプレイした時に、初めてパートナーであることが明らかになります。
原文に明記はありませんが、もしリードプレイヤーが「3」4枚持っていたときは、その中で好きなスートを宣言し、パートナーがいない状態でプレイすると思われます。
通常はチップを使用し、勝者(または勝者チーム)と敗者または(敗者チーム)でチップのやりとりをするそうです。
上記以外はトレセッテと同じです。

ロベルシーノ(Rovescino)

プレイ人数が3~8人までになります。
このゲームでは失点制、つまりできるだけ得点を取らないようにします。
17世紀初頭に作られたゲームで、リベルシ、ハーツの祖先に当たるようです。
イタリア全土でプレイされていたそうです。
各プレイヤーの手札が均等になるよう配ります。余ったカードは「モンテ」として、裏向きにしてプレイの邪魔にならない所に起きます。
4,5,8人の場合でもあえて配り残りが出るように配ってもかまわないと思われます。
プレイはトレセッテと同じですが、最後のトリックを取ったプレイヤーは、取ったカードと「モンテ」を取ります。
取ったカードの得点を集計します。1/3点、2/3点となった場合は切り捨てず、次のディールに持ち越します。
通常はいずれか1人以上のプレイヤーの合計点が21点以上になったら、ゲーム終了となり得点が最も低いプレイヤーの勝ちになります。
4人以上でプレイする場合は、合計点が21点以上になったら、脱落にし、3人になるまでプレイを続けることもあります。
手役により得点はないと思われます。上記以外はトレセッテと同じです。

チャパノ(Ciapanò)

プレイ人数が3~5人までになります。
このゲームでは失点制、つまりできるだけ得点を取らないようにします。
ルールは上記のロベルシーノと同じですが、次の点が異なります。
  • 全てのカードの得点(最後のトリックの得点は含まれません)を取った場合、そのディールでの該当プレイヤーの得点は0点になり、他のプレイヤー全員に11点が与えられる。
  • 最初にプレイする前にカードの交換をします。手札の中から1枚を選んで自分の右隣に渡します。受けとった競技者は、同様に1枚を右隣に渡します。最後の1人は1枚を自分の横に置きます。このカードは最後のトリックの勝者のものになります。
  • チャパノのローカルルールでは、♣Aを取ると11点になります。このルールを採用する場合は、いずれか1人以上のプレイヤーの合計点が101点以上になったら、ゲーム終了となり得点が最も低いプレイヤーの勝ちになります。

トラヴェルソーネ(Traversone)

プレイ人数が2~8人までになります。
このゲームでは失点制、つまりできるだけ得点を取らないようにします。
ロベルシーノとほぼ同じルールですが、次の点が異なります。
  • ♣Aを取ると11点になります。
  • 配り残ったカードは全員に公開されます。
  • 点数制(21、31、41、または100)またはディール数のどちらかになります。ディール数が設定されている場合、最も低いスコアを持つ人が勝ちます。一方、スコア制が設定されている場合は、その点数に達したらゲーム終了にするか、またはその点数以上になったプレイヤーを脱落し、サドンデス制にするかを選択します。
  • 最後のトリックを取ったプレイヤーが全てのカードの得点21点を取った場合、そのディールでの該当プレイヤーの得点は0点になり、他のプレイヤー全員に21点が与えられます。
トラヴェルソーネには次のローカルルールがあります。いずれかを組み合わせてルールに入れても良いでしょう。
  • 手札に手役がある場合は、該当の点数を取った得点から差し引くことができます。
  • いずれかのプレイヤーがフォローできなくなるまで、♣をプレイできないルールもあります。
  • 手札に得点になるカードが1枚もない場合、そのディール終了後、10点が与えられるか、または最後のトリックを取ったプレイヤーと得点を分け合います(端数切り捨て)。
  • 配り残りのカードと交換するルールもあります。この場合、最初の配り残りのカードは裏向きのままにすると思われます。
トラヴェルソーネはAndoroidアプリであそべるようです。

トレシェタ(Trešeta)

主に4人ペア戦になります
クロアチアのアドリア海沿岸部、特にダルマチア、またモンテネグロのアドリア海沿岸部、とくにコトル湾でもプレイされているそうです。
プレイの進行は時計回りになりますが、ルールは上述のトレセッテと同じです。

2人ゲーム

2人でプレイする場合、各プレイヤーに10枚ずつ配ります。
残ったカードは裏向きにして山札になります。
各トリックで勝ったプレイヤーから手札の補充を行います。
勝ったプレイヤーは、山札の一番上カードを相手に見せた後手札に加えます。
その後負けたプレイヤーは山札の一番上のカードを、相手に見せることなく手札に加えます。



参考文献・参考サイトなど

他のサイト・書籍での主な相違点

👉手役については、ナポレターナ(Napoletana)というバリエーションゲームとしている記述もあります。
書籍によってはバリエーションではなく、通常ゲームとして組み入れられている記述もあります。
👉手役の宣言は最初のトリックの後、と説明しましたが、ゲームファーム、David Parlettの"Original Dictional Games"では、最初のトリックをプレイする前に手役の宣言を行います。
👉合計点が21点以上達していると思ったら、勝利宣言し、21点以上に達していればそのチームの勝利になり、万が一21点未満だった場合、相手チームに11点が献上される、ルールもあります。
👉最後のトリックは1点ではなく、1/3点でプレイするルールもあります。

参考文献・参考サイト

・"Sicilian Card Games: An easy-to-follow guide"  Veronica Di Grigoli
・”Italian Card Games for All Ages How to play Briscola, Scopa and many other traditional Italian card games” Long Bridge Publishing
・"Original Dictional Games" David Parlett
・"Penguin of Card Games: Everything You Need to Know to Play Over 250 Games" David Parlett

2021年12月8日水曜日

Tuppi

Tuppiはフィンランドの4人ペア戦のトリックテイキングゲームです。

ミネソタホイストの変種のようです。

Tuppiはフィンランド語で「作業用のナイフの鞘」という意味だそうです。


👉人数:4人。ペア戦になります。向かい合った2人がパートナーになります。

👉使用するトランプ:通常のトランプ1組よりジョーカーを除きます。
全部で52枚になります。

👉目的:52点以上先取

👉カードの強さ:A>K>Q>J>10>9>8>7>6>5>4>3>2

切り札はありません。
このゲームは時計回りに進行します。


ディール


適当な方法で最初のディーラーを決めます。
以降ディーラーは時計回りに持ち回りで交代します。
ディーラーは各プレイヤーの手札が13枚になるよう、裏向きのまま配ります。

オークション

このオークションはプレイするゲームモードを決めるために行います。
各プレイヤーは、手札から絵札(J,Q,K)以外で好きなカードを1枚裏向きにして場に出します。
4人全員出し終わったら、ディーラー左隣のプレイヤーから出したカードを表向きにします。
表向きにしたカードが赤のスート()だった場合、それ以降のプレイヤーは出したカードを表向きにせずに手札に戻します。
  • 4人のうちいずれか1人でも赤のスート()を出していれば、ゲームが「ラミ」になります。
  • 4人全員が黒のスート(♣か♠)だった場合は、ゲームが「ノロ」になります。
ゲームが「ラミ」の場合、最初に赤のスート()を出したプレイヤーがデクレアラーになります。最初に出したプレイヤーの判定は、ディーラー左隣のプレイヤーから時計回りの順で判定します。
つまりディーラー左隣のプレイヤーがを出していれば、そのプレイヤーがデクレアラーになります
以降デクレアラーとそのパートナーを「デクレアラーチーム」、もう一方のペアを「ディフェンダーチーム」と呼びます。
ゲームが「ラミ」になった場合、相手チームは「ソロ」を宣言することができます。
ゲームモードの説明は次の通りです。
  • ラミ:デクレアラーチームが取ったトリック数が6トリックを超えるごとに4点
    • 7トリック:4点 、8トリック:8点、9トリック:12点、10トリック:16点、11トリック:20点、12トリック:24点、13トリック:28点
  • ラミ: ディフェンダーチームが取ったトリック数が6トリックを超えるごとに8点 
    •  7トリック:8点 、8トリック:16点、9トリック:24点、10トリック:32点、11トリック:40点、12トリック:48点、13トリック:56点
  • ノロ:7トリック未満。
    • 6トリック:4点 、5トリック:8点、4トリック:12点、3トリック:16点、2トリック:20点、1トリック:24点、0トリック:28点 
  • ソロ:宣言したチームが1トリックも取らなければ24点。宣言したチームが1トリックでも取って終った場合、相手チームに24点。

オークションが終了した後、各プレイヤーは場に出したカードを手札に戻します。 

プレイ

※ソロについては後述します。
ゲームモードが「ラミ」の場合、デクレアラーが最初のリードプレイヤーになります。
ゲームモードが「ノロ」の場合、ディーラー左隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ずそのスートを表向きにして場に出します。
該当のスートが複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
全員の手札がなくなるまでプレイを続けます。
手札がなくなったら、1ディール終了です。
ソロ
ソロ宣言したプレイヤーと相手チームの3人だけがプレイします。
ソロ宣言したプレイヤーのパートナーはプレイすることはできません。
ソロ宣言でも13トリック行います。
ソロ宣言では手札3枚しか使いません(3トリックのみ行います)。*1
捨て札にするという明記はないため、手札は13枚のままプレイすると思われます。
ソロ宣言のみカードの強さが次のように変わります:K>Q>J>10>9>8>7>6>5>4>3>2>A
ソロ宣言したプレイヤーは1枚だけパートナーと手札交換を行うことができます。
手札の交換をするかしないかは自由です。
交換する場合は、まずソロ宣言したプレイヤーが手札から1枚裏向きにして場に出します。
パートナーは場に出たカードを見ずに、手札から1枚裏向きにして、ソロ宣言したプレイヤーに渡します。
場に出たカードとパートナーの手札は、裏向きにしてプレイの邪魔にならない場所に起きます。
「ラミ」でデクレアラーになったプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。またデクレアラーのパートナーが次にプレイします。
つまりソロ宣言したプレイヤーは最後にプレイします。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ずそのスートを表向きにして場に出します。
該当のスートが複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーが変わっても、ソロ宣言したプレイヤーは最後にプレイします。
ソロ宣言したプレイヤーがトリックをとるか、または全員の手札がなくなるまでプレイを続けます。
ソロ宣言したプレイヤーがトリックを取った時点、または手札がなくなったら、1ディール終了です。

*1:Wikipediaでは3トリックとありますが、Board Game Geekでは全トリック(13トリック)と記載されています。おそらく後者の13トリックが正しいルールかと推測いたします。


ゲーム終了

このゲームでは常にどちらか1つのチームしか得点が入りません。
1ディール終了後、得点を取ったチームが相手チームの場合、もう一方のチームはそれまでの得点を全て失います。
つまり連勝しない限りは得点を累積することはできません。
どちらかのチームの合計点が52点以上になった時点でゲーム終了となり、そのチームの勝利となります。
ゲーム終了がかなり難しいゲームです。
得点がなくなるルールを無視して、事前にディール数を決めてプレイしても良いかもしれません。

参考サイト


2021年8月29日日曜日

Stop the Bus

Stop the Busはイギリスのトランプゲームです。
脱落系(生き残り)のゲームになります。
時々Ride the Busや、Bastard Stop the BusまたはBastard Bragとも呼ばれているようですが、若干ルールに違いがあるようです。

人数:2~9人以上(推奨人数は3~5人)

使用するトランプ:通常のトランプ1組よりジョーカーを除きます。

全部で52枚になります。

プレイする前にチップまたは駒、マッチ棒などを用意します。
任意ですが、バスまたは車の駒(またはおもちゃのブザーボタン)を1個用意します。
このブログではバスの駒で説明します。

各プレイヤーに3枚ずつチップ(駒またはマッチ棒など)を渡します。
これが各プレイヤーの最初のライフになります。

このゲームは時計回りに進行します。

目的:相手より強い手役を作って最後まで生き残ること

カードの強さ:A>K>Q>J>10>9>8>7>6>5>4>3>2



手役

このゲームでは3枚の手札でより強い手札を作ることが目的になります。
手役は次の通りです。
  1. プライアル:同じランクのカード3枚。同じプライアルでの強さは:3>A>K>Q>J>10>9>8>7>6>5>4>2になります。
  2. ランニング・フラッシュ:同じスートで3枚が連続したカード(シークエンス)。同じランニング・フラッシュで最も強いのは3-A-K、次に強いのがA-K-Q、その次がK-Q-Jになります。最弱は4-3-2になります。
  3. ラン:スート関係なく3枚が連続したカード(シークエンス)。同じランで最も強いのは3-A-K、次に強いのがA-K-Q、その次がK-Q-Jになります。最弱は4-3-2になります。
  4. フラッシュ:同じスート3枚。同じフラッシュでの強さの判定は、3枚のうち2枚のカードの強さを比べます。その2枚が同じ強さの場合は、残り1枚の強さを比べます。例えば、J-9-2はJ-8-7に勝ちます。最も強いフラッシュはA-K-J 、最も弱いフラッシュは5-3-2になります。
  5. ペア:同じランクのカード2枚。同じペアで強さの判定は、ペア2枚の強さを比べます。ペアの2枚が同じ強さの場合は、残り1枚の強さを比べます。同じペアでの強さの判定は、まずペア2枚の強さを比べます。例えば、5-5-3は4-4-Kに勝ちます。最も強いペアはA-A-K 、最も弱いペアは2-2-3になります。
  6. ハイカード:上記5つの手役のどれにも該当しない3枚。同じハイカードでの強さの判定は、手札の中で一番強い1枚を比べます。そのカードが同じ強さの場合は、手札の中で次に強いカード、それも同じ強さの場合、残り1枚の強さを比べます。
上記の番号が小さいほど強い手役になり、番号が大きくなるにつれ、弱い手役になります。
つまり最も強い手役が「プライアル」、最弱の手役が「ハイカード」になります。最も強いハイカードはA-K-J 、最も弱いハイカードは5-3-2になります。



ディール

ジャンケンなど適当な方法で最初のディーラーを決めます。
以降は時計回りに持ち回りで交代します。
もし次のディーラーをするプレイヤーがゲームから脱落してしまった場合、直前のゲームのディーラーがそのままディラーになります。
ディーラーは使用するカードをシャッフルした後、各プレイヤーに裏向きのまま3枚配ります。
配り方は1枚ずつでも3枚ずつでもかまいません。
各プレイヤーの手札は3枚になります。
その後、場に表向きで1枚出します。このカードが最初の捨て札になります。
残ったカードは山札として裏向きのまま捨て札の脇に置きます。

プレイ

ディーラー左隣のプレイヤーが最初にプレイします。
最初のプレイヤーがプレイした後、時計回りにプレイします。
自分の番になったら、次の3つのうちから必ず1つを選んでプレイします。
  • 山札の一番上カードを1枚自分の手札に加えた後、手札から1枚選び捨て札の上に表向きに置く。
  • 捨て札の一番上カードを1枚自分の手札に加えた後、手札から1枚選び捨て札の上に表向きに置く。このとき、今手札に加えたカード以外の中から選んで捨て札にします。
  • 「そのバス停まれ」と宣言し、バスの駒を自分の前に置く。この手番で手札を補充したり、捨て札にすることはできません。
「そのバス停まれ」宣言後、他のプレイヤーは1回ずつ手番をした後プレイ終了となります。




生き残り判定

プレイ終了後、各プレイヤーは手札を公開します。
最も弱い手役のプレイヤーの敗北となります。
敗北者は、ライフを1つ失います。
もし最も弱い手役のプレイヤーが複数いる場合は、該当のプレイヤー全員がライフを1つ失うと思われます。
ライフが1枚もない状態になると、「フローティング」と呼ばれます。
「フローティング」と呼ばれたプレイヤーが次に敗北した場合、ゲームから脱落します。

ゲーム終了

1人を除いて全員がゲームから脱落するまでゲームを続けます。
生き残った1人の勝利になります。



バリエーション

31
手札の3枚が同じスートでランクの値の合計が「31」が最も強い手役になります。
つまり「プライアル」より強い手役になります。
ランクの値は次の通りです。
  • A:11ポイント
  • K,Q,J:各10ポイント
  • 2~10:数字のまま
31ブリッツスコア
手札の3枚が「31」の場合、すぐに「ブリッツ」を宣言しプレイを終了する必要があります。
またバリエーションで「31」以外に、手札の3枚が次のうちいずれかに該当する場合「ブリッツ」を宣言できます。
  • 「3」が3枚
  • 「A」が3枚。31より強い手役になります。
「3」が3枚の場合、「A」3枚、31より強い手役であるかは明記されていません。
プレイする前に「3」が3枚の強さを決めておいてください。
他のバリエーション
・チップを使用しません。最も強い手役を作ったプレイヤーが勝利となり1点獲得します。得点の合計が5点以上に達したプレイヤーの勝利になります。
・「バスが停車します」宣言したプレイヤーが敗北した場合、ライフを2失います。
・最初のチップを4枚にします。つまり各プレイヤーの初期ライフは4になります。
・チップでなくお金を賭けるバリエーションもあるようです。

参考サイト