2020年12月23日水曜日

推しのペア戦トリックテイキングゲーム

今年最後の記事です。 

またとりとめもない内容になるかもしれませんが、私が遊んだペア戦トリックテイキングゲームで、面白かったゲームを順不同でいくつか紹介したいと思います。

1.パスカットラン

ペア戦トリックテイキングゲームの記事を書くときに、真っ先に頭の中で浮かんだのがこのゲームでした。
ペア戦のゲームではパートナーは自分の正面に座るのがほとんどです。
しかしこのゲームではペアを組む2人は隣同士に座ります。
特定のカードを持っているプレイヤー同士がペアを組むゲーム(ドッペルコップなど)やビッドでペアを組むゲーム(ソロホイストなど)はあるのですが、最初から隣同士固定というトリックテイキングゲームは滅多にありません。
さらにこのゲームでは、勝ったプレイヤーがそのトリックで何番目にプレイしたかで得点が変わります。
これが先ほどの座り順とよくからんでいて、高得点を狙いたいけどそうはいかないという仕組みがよくできています。
説明しているうちに、遊びたくなってきました(笑)。
パスカットラン

2.フィネス

このゲームで使うトランプは、ジョーカー除いた52枚に、各スートのJ,Q,Kを加えます。
つまり全部で64枚使います。
この各スートはJ,Q,Kが2枚ずつあるのに、Aは1枚ずつしかない
というのがよく効いています。
このゲームで変わっているのは、自分の目の前に表向きに3枚カードが並んでいる状態でプレイを開始するところです。
しかも自分の目の前にあるカードは、自ら出すことはできません。
自分の目の前のカードはパートナーがリードの時出してもらうしかありません。
これがこのゲームの最大の特徴であり、またパートナーに対しての意思表示(シグナル)としても使えます。
どうしてもこのゲームは、ずっと相手チームのターンという状況が生まれがちなのですが、それでも面白いゲームだと推してしまいます。
フィネス(Finesse)

3.チロリアン地方のバッテン

先日紹介したバッテンです。
このゲームは切り札の強さの順と、切り札と特定のカード(ベリ)がリードで出た時だけフォローのルールが変わるという、変則的な所はあります。
ただ手札5枚という中で、プレイ中いつでも得点をレイズできる「ゲーヘン」が良く効いており、もう一度遊びたいと思わせるトリックテイキングゲームの1つです。
シグナルを体得すればさらにこのゲームの面白さが増すと思います。
Watten(Tyrolaen,etc)

4.ブリントバッテン

4人中2人が切り札がわからない状態でプレイするという、チロル地方のバッテンのバリエーションゲームです。
切り札わからない状態でトリックテイキングゲームが成立するのか、と不安になりますが、プレイしてみると、ちゃんとトリックテイキングゲームとして楽しめます。
一体誰がこんな変態ルールを考えたのでしょう。
好みが出るかもしれませんが、チロル地方のバッテンとブリントバッテン、是非にお試しあれ!

Watten(Tyrolaen,etc)


5.クイント

スートによって傾斜が効いているペア戦トリックテイキングゲームです。
とにかくこのゲームは、気持ちが良いほど得点が入ります。
同じトリックで特定の2枚を取ると得点になる組合せも、意外と成立します。
ルールを読む限りは難しいようにおもえたんですが。
ジョーカー1枚25点もこのゲームのポイントです。
それだけにうっかりミスプレイしたり、巡り合わせが悪いと、相手に大量得点を献上してしまうことになりがちですが、遊んでいて個人的には気持ちよいゲームだと感じました。
クイント(Quinto)

6.サニー

このゲームは得点を10点単位でビットするのですが、ビットした点数が相手の持ち点になるというところが変わっています。
また圧勝しても相手チームが切り札が1枚も持ってないと、そのディールが無効になるというルールが変わっています。
この無効ルールが好みが分かれるところですが、救済措置としては良いアイデアだと思います。


7.42(Forty Two)

ドミノW6を使ったトリックテイキングゲームです。
若干大味な所もありますが、面白いゲームです。
ルールとしてもシンプルで気軽に楽しめるトリックテイキングゲームです。


42

8.鹿狩り

天九牌を使ったトリックテイキングゲームです。
とにかくこのゲームのプレイ感はきついです。
非常に一手が重く感じます。
肉を切らせて骨を断つという、プレイが迫られるゲームです。
鹿狩り

9.スキャン

スキャンは個人戦でも面白いのですが、個人的にはペア戦でその面白さがさらに増すように思います。
確か4人ペア戦と6人ペア戦がプレイできたはずです。
パートナーが持っているスートが丸わかりですので:
「おい! なんでそっちを出すんだよ!」
「そっちでリードすんなよ!」
と和やか? なプレイが生まれます。
マストフォロー練習トランプでも、プレイできますので、ペア戦是非試してみてください。

とりあえずゲームで!

10.ブラックスワン

このゲームもプレイ感はきついゲームになります。
シンプルに7枚目を出した人がトリックを取るゲームなのですが、複数枚出しがOKなルールがよく効いています。
さらにこのゲーム得点になる牌と失点になる牌があり、失点になる牌がジョーカーと、1枚だししかできないブラックスワン牌があるのが、実によくできています。

[ボードゲーム] ブラックスワン 紹介|ゴクラキズム

ただ最近はなぜかペア戦だと、ついスコポーネを遊んでしまうのですが・・・。
この記事をきっかけに、ペア戦トリックテイキングゲームを遊んでいきたいと思います。
そういえばS.Andoさん創作した「ダブルデッキ・ジャーマンホイスト」、未プレイでした。
機会があれば遊んでみたいと思います。

ダブルデッキ・ジャーマンホイスト

2020年12月22日火曜日

Sloppy Seconds

スロッピー・セコンドは、Peter Schell氏が創作したトリックテイキングゲームです。
3、4人いずれも個人戦になります。 
4人の場合は、通常のトランプよりジョーカーを除いた52枚を使います。 
3人の場合は、通常のトランプより♣2とジョーカーを除いた51枚を使います。 
各スートのカードの強さは:A>K>Q>J>10>9>8>7>6>5>4>3>2です。
このゲームは時計回りに進行します。
ゲームの目的:各スートのカードの得点合計で、2位になること。
ゲームの終了:300点以上または364点以上先取。


カードの得点

各カードには下記表のとおり得点ついています。











ディール

最初のディーラーをじゃんけんなど適当な方法で決めます。
以降は時計回りに持ち回りに交代します。
ディーラーはシャッフルした後、各プレイヤーに裏向きのまま1枚ずつ配ります。
3人の場合は各プレイヤーの手札が17枚、4人の場合は各プレイヤーの手札が13枚になります。
配り残りはありません。


プレイ

プレイ開始時点では切り札はありません。
ディーラーの左隣が最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ずそのスートを表向きにして場に出します。
該当のスートが複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
ない場合は、何を出してもかまいません。
まだ切り札が決まっていないトリック中に、リードしたスート以外のカードが出て、さらに異なるスートが出た場合、そのカードのスートがその瞬間切り札になります。
もしそのトリックでリードしたスートと異なるスートが1種類しか出なかった場合、次のトリック以降に持ち越されます。
次のトリックで異なるスートの2種類目が出た瞬間、そのスートが切り札になります。
例えば:
リードで♠が出した後、いずれかのプレイヤーがが出し、その後が出た場合、が切り札になります。
そのトリックで4人とも異なるスートを出した場合は、2番目に出たスートが切り札になります。
リードで♠が出した後、いずれかのプレイヤーがが出し、以降のプレイヤーが♦または♠を出した場合、切り札の決定は次のトリック持ち越されます。
次のトリック以降でリードしたスートがが出た場合、が切り札になります。
一度切り札が決まった場合、以降切り札はプレイが終了するまで変わることはありません。
(原文では明記されていませんが、そのように解釈しました)
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
  • 切り札が出ていない場合は、リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
  • 切り札が出ている場合は、切り札スートで一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
全員の手札がなくなるまでプレイを続けます。
手札がなくなったら、1ディール終了です。


得点計算

1ディール終了後、トリックで取ったカードをスートごとに分けます。
分けた後、各スートごとにカードの得点を集計します。
下記のいずれかに該当するプレイヤーのみが得点を獲得します。
  • 各スートのカードの合計点が2位のプレイヤー。2位が複数いた場合は、該当のプレイヤー全員が得点を獲得します。
  • 取ったカードの合計点(全てのスートの合計点)が4点以下の場合、該当のプレイヤーは5点獲得します。
※そのスートが1枚も取れていない状態で2位なった場合、5点獲得できるかどうかは、原文では明記されておりません。
プレイする前に事前に決めておいた置くことをお勧めします。
上記の得点が入るとすると、0トリックで2位の場合、20点入ることになります。


ゲーム終了

いずれか1人のプレイヤーの合計点数が300点以上(364点以上)になったらゲーム終了です。
ゲーム終了後合計点の高いプレイヤーの勝利になります。

参考サイト

2020年12月19日土曜日

シグナルの話

 シグナルのあるトリックテイキングゲーム・よもやま話

今回はシグナルのあるトリックテイキングゲームに関する記事になります。
かなりとりとめもない内容になりますが、読んでいただけると幸いです。
シグナルとは、パートナーに自分の手札を知らせる行為です。
ほとんどのトリックテイキングゲームでは、カードの情報をしゃべることは禁止されています。
その代わり、手や口などを使って相手に自分のカードの情報を知らせることを許容するゲームがいくつかあります。
シグナルがOKなゲームはペア戦がほとんどなのですが、個人戦でシグナル、またはシグナルに近い行為をするゲームがあります。

ツーペン(Toepen)

ツーペンの特定の行為がシグナルにあたるかどうかは、意見が分かれるかもしれません。
私の中ではシグナルになるかなと思いましたので紹介します。
ツーペンでは「10」が最も強いカードになります。
  • 手札に「10」が3枚ある場合、口笛を吹かねばなりません。
逆に「J」は最も弱いカードになります。
  • 手札に「J」が3枚ある場合、口笛を吹いてもかまいません。
口笛が吹けない場合は、大声で歌います。
  • 手札に「10」が4枚ある場合、必ず立ち上がります。
  • 手札に「J」が4枚ある場合、立ち上がってもかまいません。
シグナルとは関係ありませんが、カードの交換の際、相手の交換カードに「チャレンジ」をかけられるのが、他のトリックテイキングゲームと変わっていて面白いです。
この記事を書くに当たり、ツーペンのルールを確認しましたが、異質なトリックテイキングゲームだと改めて感じました。
参考サイト


動作を伴うシグナルを使うトリックテイキングゲーム

先日紹介しましたバッテンのように、何かのしぐさで自分のカードの情報を伝える、この手段が一番多いように感じました。
例えばバーバリア地方のバッテンでは、唇をとがらせたり(Kを持っている)、指を使ったシグナルがあります。
またアリュエットでは親指を立てる(9を持っている)、小指を立てる(9を持っている)など、というシグナルがあります。
アリュエットはルール自体はシンプルなのですが、かなりカードの強さが複雑なゲームです。
シグナルを覚えるのにも苦労しそうですし、アリュエットを遊ぶにはちょっと大変かもしれません。
アリュエットで個人的に面白いシグナルだと感じたのは、
  • 手を心臓に当てる:3を持っている
  • 書くまねをする:♠2を持っている
でしょうか。
参考サイト
アリュエット
またトリュックでは、7を持っているシグナルで「にやりと」します。
トリュックを遊んでいるとき、うかつに笑顔を浮かばせないように気をつけないといけません(苦笑)。
参考サイト
トリュック
それ以外に面白いシグナルとしては、サタットというトリックテイキングゲームで、そのスートが最後の1枚を表すために使うシグナルでしょうか。
プレイする際、そのカードでテーブルを擦ることで、そのスートが最後の1枚だと言うシグナルになります。

ちょっとテーブルが汚いところでは、あまりしたくないシグナルですね。
参考サイト
サタット
またマラフォンで似たような意味のシグナルに、「カードを投げてゆっくりテーブルに着地させる」があります。
このシグナルはリードで出したスートが最後の1枚であることを表します。
投げて、テーブルから落ちてとんでもないところにカードが言ってしまいそうですが。。。
またリードしたカード以外に低いカードが1枚以上表すシグナル:「カードをすばやくテーブルにすべらせる」も変わっていて面白いです。
参考サイト
マラフォン
カードを投げるシグナルと言えば、タロットを使ったトリックテイキングゲームの「オットーチェント」があります。
このゲームでもリードで出したスートが最後の1枚であることを表すシグナルとして:
リードするカードを軽く空中に投げ出して、カードがすこし飛ぶようにする
があります。
うっかり飛ばしすぎて、カードが取れないところに落ちなければ良いのですが・・・。
参考サイト
オットーチェント

プレイするカードでシグナルを表すトリックテイキングゲーム

動作やしぐさではなく、プレイで特定のカードを出すことでシグナルにするトリックテイキングゲームもあります。
クラフェルヤスでは、弱いカード(7,8,9)を出した時、そのスートのAを持っているというシグナルになります。
また出したカードと同じ色で異なるスートを持っていることを示すシグナルプレイをすることもできます。
ただ意図を読み取るにも、プレイで示すのも至難の業に思えます。
参考サイト
クラフェルヤス
マドラッソでは:
最初下のランクの数札を捨札し、次に同じスートのそれより上を捨札すると、そのスートをリードしてほしいというシグナルになる。

などというように、特定の条件下で出すことでシグナルにしています。

その通りに出せる手札であれば、これはこれで思い通りに出せない気がします。

参考サイト
マドラッソ
ドミノのトリックテイキングゲーム「42」では、事前に協議する必要がありますが、特定の牌
だすことでシグナルにするようにできるようです。
参考サイト
42

トリックテイキングゲーム以外にもシグナルがあるゲームがあります。
ムスやDavid Parlettのコンチェルトもシグナルがあります。
シグナルは覚えるのに一苦労しますし、せっかくシグナルを送ったとしてもパートナーがその意図に気づくかは怪しいところですが、それでもプレイの幅を広げる手段であることは間違いありません。
私もせめて1ゲームぐらいはシグナルを覚えておきたいところです。

2020年12月18日金曜日

Watten(Tyrolaen,etc)

 

バッテン・シーズン2

あの日見た切り札を僕達はまだ知らない 

シーズン1ではバーバリア地方のバッテン、オーストリアバッテンを紹介しました。

シーズン2では、バッテンのチロル地方のルールとそれ以外のゲームを紹介します。

ブリントバッテンが特に面白いのですが、かなりプレイミスやリボークを誘発しやすいゲームです。

ブリントバッテンはトリックテイキングゲームを遊び慣れた方同士でプレイしましょう。また複数回以上プレイすることをお勧めします。

インデックス

長い文章になりますので、インデックスを作りました。
<キリティッシュ・バッテン>

チロル地方のバッテン

チロル地方のバッテンは固定の切り札がなくなります。
2~4人までプレイできます。
4人の時にはペア戦になります。4人のプレイから先に説明します。
通常のトランプよりジョーカーと次のカードを除きます。
  • 以外は各スートの2~6を除きます。
  • ♦は各スートの2~5を除きます
このゲームは時計回りに進行します。
カードの強さ
このゲームでは切り札が存在します。
切り札以外の各スートのカードの強さは:A>K>Q>J>10>9>8>7>6
になります。
このゲームでは切り札のランクとスートが「切り札決め」で決まります。
また常に切り札になるカードが存在します。
切り札の強さの順は次の通りです。番号が小さい方が強いカードになります。
このゲームでは切り札のランクとスートが「切り札決め」で決まります。
また常に切り札になるカードが存在します。
切り札の強さの順は次の通りです。番号が小さい方が強いカードになります。
1.レヒテ(der Rechte):

切り札スートと切り札ランクの両方に該当するカードです。例えば切り札スートがで、切り札ランクが9の場合、レヒテは9になります。

2.リンケン(der Linken):

切り札ランクのうち、切り札スートではないカード3枚になります。レヒテが9の場合、ブリンテは♠9、9、♣9になります。リンケン3枚は同じ強さになります。

リンケン3枚は切り札スートには属しません。

同じトリックでリンケンが2枚以上出た場合は、先出し勝ちになります。

切り札ランクが「6」になった場合、リンケンはありません。


3.切り札スートのカード:

切り札のカードの強さは:A>K>Q>J>10>9>8>7になります。

4.ベリ(Weli):

6(常に切り札になります。

切り札ランクが「6」になった場合、ベリはありません。

ディール
全員カードを引いて、一番強いカードを引いたプレイヤーが最初のディーラーになります。
2人以上同じ強さを引いた場合は、該当のプレイヤー同士で決着がつくまで引き続けます。
以降ディーラーは時計回りに持ち回りで交代します。
ディーラーはシャッフルした後、右隣のプレイヤーにカットしてもらいます。
カットした後ディーラーは、まず3枚ずつまとめて、ディーラーの左隣から時計回りに、各プレイヤーに裏向きのまま配ります。
このとき、すでにクリティシュを配られているプレイヤーがいたら、そのプレイヤーにはその分だけ枚数を減らして配ります。
その後、2枚ずつまとめて各プレイヤーに裏向きのまま配ります。
各プレイヤーの手札は5枚になります。
残ったカードは裏向きにして山札にします。山札は交換用に使用します。
ディーラーとディーラーの左隣のプレイヤー以外は、切り札決めが終わるまで配られた手札を見ることはできません。
切り札決め
ディーラーとディーラーの左隣のプレイヤーだけが配られた手札を見ます。
それ以外のプレイヤーは手札を見ることはできません。
切り札を宣言する前に、ディーラーの左隣のプレイヤーは、ディーラーに対してカードの交換の提案をすることができます。
これに対しディーラーは、その提案を受けれてもかまいませんし、拒否してもかまいません。
ディーラーが交換を受け入れた場合、ディーラーの左隣とディーラーは手札を裏向きにして捨て札にします。
その後、ディーラーはディーラー左隣のプレイヤーに5枚、自分に5枚、裏向きのまま配ります。
捨て札と残った山札はプレイでは使用しません。裏向きのまま、ゲームの邪魔にならない場所に置いてください。
ディーラーが交換を拒否した場合は、2人ともカードの交換をすることはできません。
最初にディーラーの左隣のプレイヤーがどのランクを切り札のランクにするかを宣言します。この切り札のランクを「シュラーク」と呼びます。
「6」をシュラークにしてもかまいません。
シュラークを「6」にした場合、リンケンとベリはなくなります。
ディーラーが宣言したスートに関係なく、リンケンとベリがなくなります。
その後、ディーラーが、どのスートを切り札にするかを宣言します。
切り札の宣言が終わった後、残りの2人のプレイヤーは手札を見ることができます。
プレイ
ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートに関係なく好きなカードを出すことができます。
例外として、切り札またはベリがリードで出された場合、以降のプレイヤーは手札に切り札があれば、切り札またはリンケンをプレイしなければなりません。
切り札が複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
手札に切り札がない場合は、切り札を含め何を出してもかまいません。
リンケン3枚は切り札ではありません。
リードでリンケンがプレイされた場合、切り札ならびにリンケンを出す必要はありません。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
  • 切り札が1枚も出ておらず、リンケンが出ている場合、リンケンを出したプレイヤーが勝ちます。リンケンが2枚以上出ている場合は、先出し勝ちになります。
  • 切り札もリンケンも出ていない場合、リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
  • 切り札が出ている場合は、切り札スートで一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
プレイ中どちらかのチームが合計で3トリック取ったら、その瞬間にプレイ終了となります。
得点
プレイで3トリック取ったチームは2点獲得します。
合計15点以上取ったチームの勝ちになります。
ゲーヘン
切り札の宣言が終わった後ならいつでも、どちらのチームのプレイヤーでも、「ゲーヘン」と言ってプレイの点数を2点ではなく3点にすることを提案できます。
ゲーヘンを受けたチームのプレイヤーは、いつでも(受けた直後でも)、「4」といって、さらにプレイの点を1点上げることを提案できます。提案する代わりに降りることもできます。
この時点で降りた場合、相手チームは2点獲得します。
「4」を宣言した場合、相手チームは降りるか受けるかを選択します。
降りた場合には、それまでの点数つまり3点が相手チームにつきます。
このように、相手の提案を受けたチームは、いつでも「5」「6」「7」・・・というように1点ずつプレイの点数を上げる提案を行うことができます。
提案を行うのはトリックをプレイしている途中でもかまいません。
このゲームでは話すことは禁じられていませんので、提案を行うときや受け入れるかどうか決めるときにも、パートナーどうし話し合ってかまいません。
そのチームの合計点が13点以上になったチームは、点数を増やす提案を行うことはできません。
シグナル
切り札が決められた後ならば、パートナーどうしで話し合って作戦をきめることは許されています。
また、自分の持っている手札について次のようなシグナルを出してパートナーに伝えることもできます。
またブラフとして、シグナルにない動作や、間際らしい動作をわざとすることもできます。
指の動作はプレイ前に事前にチーム同士で決めておきましょう。
  1. レヒテ:キスをするように唇をつき出す
  2. リンケン1枚:片目でウィンクする
  3. リンケン2枚:両目を一度閉じる
  4. リンケン3枚:両目を一度閉じた後、片目でウインクする
  5. 切り札のA:右親指(だけでなにかをする)
  6. 切り札のK:右人差し指(だけでなにかをする)
  7. 切り札のQ:右中指(だけでなにかをする)
  8. 切り札のJ:右薬指(だけでなにかをする)
  9. 切り札の10,9,8,7,6:右小指(だけでなにかをする)
  10. ♣:左小指(だけでなにかをする)
  11. ♠:左薬指(だけでなにかをする)
  12. :左中指(だけでなにかをする)
  13. :左人差し指(だけでなにかをする)
  14. 悪い手:天井を見る
6がシュラークになった場合、シグナルを使うことはできません。その代わりパートナー同士で手札を見せ合うことができます(実際にはパートナー同士で手札を交換して、お互いの手札を確認します)。
2人プレイ
4人ゲームとほとんど同じです。ディーラーでないほうが切札のランクを決め、ディーラーが切札のスートを決めます。
3人プレイ
ディーラーの左隣のプレイヤーが切り札のランクと切り札のスートの両方を決めます。
他の2人のプレイヤーが臨時のチームになり、1人対2人でどちらが3トリックを取るかを競います。
各プレイヤーは自分の得点を書きとめます。
2人のチームが勝った場合は、それぞれがその得点(ゲーヘンがなければ2点)を自分の得点とします。
シグナルなし
シグナルなしでプレイします。
グアテ(Guate)
南チロルではレヒテよりさらに強い切り札として、グアテが設定されています。
レヒテよりランクの強さが一つ強いランクがグアテになります。
例えばシュラクが10で切り札スートが♣の場合、グアテは♣Jになります。
シュラクがAで、切り札スートがの場合、グアテは7になります。
シュラクがAで、切り札スートがの場合、グアテはありません。レヒテである6が一番強い切り札になります。
目標点数の変更
合計18点以上取ったチームの勝ちに変更します。
18点以上勝利にした場合、合計16点以上取ったチームはゲーヘンができなくなります。


クリティッシュ・バッテン

クリティッシュ・バッテンは、チロル地方で遊ばれているトリックテイキングゲームです。
チロル地方のバッテンと異なる点のみ説明します。
カードの強さ
レヒテより強いカードがあります。次の3枚は常に切り札になります。

1.マーテル(Martl):K
2.ベリ(Weli):6
3.ネル(Nell):♠7
クリティッシュ・バッテンでは、ベリは2番目に強い切り札になります。
レヒテより強い切り札を次の4枚を設定する場合もあるようです。

1.マーテル(Martl):K
2.ゲシュリーブナー・ベリ(geschriebener Weli):6
3.クライナー・ベリ(kleiner Weli):7
4.アイヒエルスピッツ(Eichelspitz):♠7

レヒテより強いカードの指定は、地域によって異なることがあるそうです。
上記のカードを「クリティッシュ」と呼びます。
切り札決め
切り札ランクで「6」を指定することはできません。
プレイ
クリティッシュは好きなときに出すことができます。
またクリティッシュがリードで出された時、他のプレイヤーは何を出してもかまいません。
シグナル
  1. マーテル(K):キスをするように唇をつき出す
  2. ベリ:唇を右に動かす
  3. ネル(♠7):唇を左に動かす
  4. レヒテ:右目でウインクする
  5. リンケン:左目でウインクする
  6. 切り札のA:右親指(だけでなにかをする)
  7. 切り札のK:右人差し指(だけでなにかをする)
  8. 切り札のQ:右中指(だけでなにかをする)
  9. 切り札のJ:右薬指(だけでなにかをする)
  10. 切り札の10,9,8,7,6:右小指(だけでなにかをする)

ブリント・バッテン

ラディッシュ・バッテン(Ladish Watten)とも呼ばれています。
このゲームは4人ペア戦のみになります。
南チロルとオーストリアのシュタイアーマルクでよく遊ばれているそうです。
「切り札決め」と「プレイ」以外はチロル地方のバッテンと異なる点のみ説明します。
カードの強さ
レヒテより強いカード「グアテ」があります。
レヒテよりランクの強さが一つ強いランクがグアテになります。
例えばシュラクが10で切り札スートが♣の場合、グアテは♣Jになります。
シュラクがAで、切り札スートがの場合、グアテは7になります。
シュラクが6で、切り札スートがの場合、ベリ、リンケンに加えグアテはありません。レヒテである6が一番強い切り札になります。
「6」がシュラークにならないかぎり、どのスートが切り札になっても6はベリとして扱います。
一部地域ルールでは7をグアテにするルールもあるようです。
またベリは常に切り札にはなりません。
切り札決めでスートで6を出した時、切り札スートはになります。ただし、プレイ上、6は、どのスートにも属さない独立したカードになります。
※ゲームファームではベリは切り札扱いにならないと説明がありますが、PAGATでは言及はありません。
切り札決め
ディーラーとディーラーの左隣のプレイヤーだけが配られた手札を見ます。
それ以外のプレイヤーは手札を見ることはできません。
切り札を宣言する前に、ディーラーの左隣のプレイヤーは、ディーラーに対してカードの交換の提案をすることができます。
これに対しディーラーは、その提案を受けれてもかまいませんし、拒否してもかまいません。
ディーラーが交換を受け入れた場合、ディーラーの左隣とディーラーは手札を裏向きにして捨て札にします。
その後、ディーラーはディーラー左隣のプレイヤーに5枚、自分に5枚、裏向きのまま配ります。
捨て札と残った山札はプレイでは使用しません。裏向きのまま、ゲームの邪魔にならない場所に置いてください。
ディーラーが交換を拒否した場合は、2人ともカードの交換をすることはできません。
ディーラーの左隣のプレイヤーが手札からシュラーク(切り札のランク)のカードを1枚選びます。
「6」をシュラークにしてもかまいません。
シュラークを「6」にした場合、ディーラーが出したスートに関係なく、ベリ、リンケン、グアテはなくなります。
ディーラーは手札から切り札スートにするカードを1枚選びます。
選んだ後、ディーラーの左隣とディーラーの2人だけが同時に選んだカードを見せ合います。
このとき他の2人にはわからないようにします。
ディーラー左隣のプレイヤーとディーラーはシュラークと切り札スートをよく覚えておいてください。
またカードの強さを頭の中でよく確認しておきましょう。
見せ終わった後、残りの2人のプレイヤーは手札を見ることができます。
ただし他の2人にシュラークと切り札スートがなんであるかは言ってはいけません。
プレイ
プレイ終了するまで、他の2人にシュラークと切り札スートがなんであるかは言ってはいけません。
ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートに関係なく好きなカードを出すことができます。
例外として、切り札またはベリがリードで出された場合、以降のプレイヤーは手札に切り札があれば、切り札またはリンケンをプレイしなければなりません。
切り札が複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
手札に切り札がない場合は、切り札を含め何を出してもかまいません。
リンケン3枚は切り札ではありません。
リードでリンケンがプレイされた場合、切り札ならびにリンケンを出す必要はありません。
・・・
う、うん!? ちょっと待てよと思った方、そうです!
シュラークと切り札スートを知らない2人は、上記のルールを守ることは不可能です。
そこで、シュラークと切り札スートを知らない2人は、代わりに次のルールを適用します。
シュラークと切り札スートを知らない2人は、切り札またはベリがリードで出されたとしても、好きなカード(切り札を含む)を出します。
つまり、シュラークと切り札スートを知らない2人はリボークしたい放題になります。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
このときディーラー左隣のプレイヤーまたはディーラーが勝者を宣言します(または勝ったカードを指で指します)。
このとき勝った理由までしゃべることはできません。
  • 切り札が1枚も出ておらず、リンケンが出ている場合、リンケンを出したプレイヤーが勝ちます。リンケンが2枚以上出ている場合は、先出し勝ちになります。
  • 切り札もリンケンも出ていない場合、リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
  • 切り札が出ている場合は、切り札スートで一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
プレイ中どちらかのチームが合計で3トリック取ったら、その瞬間にプレイ終了となります。
得点
プレイで3トリック取ったチームは2点獲得します。
合計15点以上取ったチームの勝ちになります。

ブリントバッテンでも、ゲーヘン、シグナルを適用します。
初めてプレイするとあまりの衝撃なゲーム感のあまり、すっかり忘れがちになりますけど。
プレイ中トリックの勝者の判定などで切り札がわかってしまうこともありますが、切り札は秘匿のままプレイを続けます。
もしプレイの途中や、プレイ終了後リボークがわかった場合は、そのディールの得点をなしにしてやりなおすか、相手に勝ち点2点を与えるか、どちらかにした方が良いと思われます。
慣れないうちはそのディールをやり直した方が良いと思います。
切り札を決める役割は責任重大ですが、いかにパートナーに切り札を伝えるか考えるのも楽しかったです。
切り札を知らない方はトリックテイキングに加え、切り札が何かを当てる、いわば謎解きゲームの要素があり、かなり楽しいゲームでした。
何回か遊んで慣れないと、本来の楽しさがわかりづらいかもしれません。


ボヘミアン・バッテン

ボヘミアン・バッテンは個人戦になります。
各プレイヤーは初期点数20点を0点以下にすることがこのゲームの目的になります。
プレイ人数の制限は内容です。
今までのバッテンとの大きな違いは、カードのプレイで次の点になります。
  • リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ず出さなくてはなりません。
  • 今まで出たカードより強いカードがある場合は、必ずそのカードを出さなくてはなりません
ディーラーがシャッフルした後、一番下のカードを公開したカードが切り札になります。
明記はされていませんが、そのカードのランクが切り札ランクになると思われます。
各プレイヤーに5枚配られた後、ディーラーの左隣から時計回りにカードの交換をすることができます。
カードの交換は最大3枚までになりますが、ディーラーは2枚だけになります。
1トリック取るごとに持ち点数から2点ずつ引きます。
ただし1トリックも取れないと持ち点に5点が加算されます。
またが切り札の場合、得点が倍になります。
つまり1トリック取るごとに-2点、1トリックも取れないと10点加算されます。
もし持ち点がマイナス点になった場合は、マイナスのままゲーム終了となります。
ゲーム終了後、より持ち点が低いプレイヤーの勝ちになると思われます。

参考文献・参考サイト

参考文献
・トランプ大全
・キリンが欲望の赴くままにトランプのトリックテイキングゲーム本を書いてみました
参考サイト
BR

2020年12月15日火曜日

Watten

バッテン・シーズン1

バーバリア地方のバッテンとオーストリア・バッテン

バッテン(Watten)はドイツの南東部にあるバーバリア地方、オーストリアの南チロル、スイスで遊ばれているトリックテイキングゲームです。

通常は4人ペア戦でプレイします。2人または3人でもプレイ可能です。

カードの強さ、フォローのルールに癖があるゲームです。取っ付きにくさはありますが、面白いゲームの1つです。

バッテンは、フランス人と同盟を結んだババリア人が、野営地で時間をつぶさなければならなかったときに作ったと言われています。

バッテンの名の由来は、フランス語の「va tout」(最後の切り札)とから来ていると思われます。

ちなみにBoardgame Geekのレートは7.2です。

バッテンにはいくつかのバリエーションがあります。

シーズン1では、バーバリア地方のバッテンとオーストリアバッテンを紹介します・



バッテンは2~4人までプレイできます。
最初に4人の時から説明します。4人の時にはペア戦になります。
ペアになった2人は向かい合わせに座ります。
通常のトランプより各スートの2~6、ジョーカーを除きます。
全部で32枚になります。
このゲームは時計回りに進行します。

カードの強さ

このゲームでは切り札が存在します。
切り札以外の各スートのカードの強さは:A>K>Q>J>10>9>8>7
になります。
このゲームでは切り札のランクとスートが「切り札決め」で決まります。
また常に切り札になるカードが存在します。
切り札の強さの順は次の通りです。番号が小さい方が強いカードになります。
1.マクシ(Maxi):

K

2.ベリ(beli):

7

3.シュプリッツアー(Spritzer/Soacha):

♣7

上記3枚を「クリティッシュ(Kritische)」と呼びます。
4.ハウプトシュラーク(Houptschlag):

切り札スートと切り札ランクの両方に該当するカードです。例えば切り札スートがで、切り札ランクが9の場合、ハウプトシュラークは9になります。もしハウプトシュラークがクリティッシュに該当するカードだった場合は、ハウプトシュラークに該当するカードはありません。

5.ブリンデ(Blinde):

切り札ランクのうち、切り札スートではないカード3枚になります。ハウプトシュラークが9の場合、ブリンデは♠9、9、♣9になります。ブリンデ3枚は同じ強さになります。同じトリックでブリンデが2枚以上出た場合は、先出し勝ちになります。

6.切り札スートのカード:

切り札のカードの強さは:A>K>Q>J>10>9>8>7になります。

ディール

最初のディーラーはじゃんけんなど任意の方法で決めます。
以降ディーラーは時計回りに持ち回りで交代します。
ディーラーはシャッフルした後、右隣のプレイヤーにカットしてもらいます。
カットした上半分のカードの一番下のカード(を全員に見せます。
もしそのカードがクリティシュ(K,7,♣7)であれば、そのカードは直ちにカットしたプレイヤー(ディーラーの右隣のプレイヤー)に配られます。
その後、その上のカードを全員に見せます。そのカードがクリティシュ(K,7,♣7)であれば、そのカードは直ちにカットしたプレイヤー(ディーラーの右隣のプレイヤー)に配られます。
さらにその後、その上のカードを全員に見せます。そのカードがクリティシュ(K,7,♣7)であれば、そのカードは直ちにカットしたプレイヤー(ディーラーの右隣のプレイヤー)に配られます。
つまりディーラーの右隣のプレイヤーは、最大3枚クリティッシュを初期手札に持つことになります。
ディーラーは、まず3枚ずつまとめて、ディーラーの左隣から時計回りに、各プレイヤーに裏向きのまま配ります。
このとき、すでにクリティシュを配られているプレイヤーがいたら、そのプレイヤーにはその分だけ枚数を減らして配ります。
その後、2枚ずつまとめて各プレイヤーに裏向きのまま配ります。
各プレイヤーの手札は5枚になります。
残ったカードは使用しません。裏向きのまま、ゲームの邪魔にならない場所に置いてください。
ディーラーとディーラーの左隣のプレイヤー以外は、切り札決めが終わるまで配られた手札を見ることはできません。

切り札決め

ディーラーとディーラーの左隣のプレイヤーだけが配られた手札を見ます。
それ以外のプレイヤーは手札を見ることはできません。
最初にディーラーの左隣のプレイヤーがどのランクを切り札のランクにするかを宣言します。この切り札のランクを「シュラーク」と呼びます。
その後、ディーラーが、どのスートを切り札にするかを宣言します。
切り札の宣言が終わった後、残りの2人のプレイヤーは手札を見ることができます。


プレイ

ディーラーの左隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートに関係なく好きなカードを出すことができます。
例外として、最初のトリックにハウプトシュラークがリードされた場合、以降のプレイヤーは手札に切り札があれば、切り札をプレイしなければなりません。
切り札が複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
手札に切り札がない場合は、切り札を含め何を出してもかまいません。
ただし、このとき誰かがクリティシュ(K,7,♣7)をプレイしたら、その後のプレイヤーは何をプレイしてもかまわなくなります。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
  • 切り札が出ていない場合は、リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
  • 切り札が出ている場合は、切り札スートで一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
  • 最も強いカードがブリンデで、ブリンデが2枚以上出ている場合は先出し勝ちになります。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
プレイ中どちらかのチームが合計で3トリック取ったら、その瞬間にプレイ終了となります。

得点

プレイで3トリック取ったチームは2点獲得します。
合計11点以上取ったチームの勝ちになります。

ゲーヘン

切り札の宣言が終わった後ならいつでも、どちらのチームのプレイヤーでも、「ゲーヘン」と言ってプレイの点数を2点ではなく3点にすることを提案できます。
ゲーヘンを受けたチームのプレイヤーは、いつでも(受けた直後でも)、「4」といって、さらにプレイの点を1点上げることを提案できます。提案する代わりに降りることもできます。
この時点で降りた場合、相手チームは2点獲得します。
「4」を宣言したあと、相手チームは降りるか受けるかを選択します。
降りた場合には、それまでの点数つまり3点が相手チームにつきます。
このように、相手の提案を受けたチームは、いつでも「5」「6」「7」・・・というように1点ずつプレイの点数を上げる提案を行うことができます。
提案を行うのはトリックをプレイしている途中でもかまいません。
このゲームでは話すことは禁じられていませんので、提案を行うときや受け入れるかどうか決めるときにも、パートナーどうし話し合ってかまいません。
そのチームの合計点が9点以上になったチームは、点数を増やす提案を行うことはできません。

シグナル

切り札が決められた後ならば、パートナーどうしで話し合って作戦をきめることは許されています。
また、自分の持っている手札について次のようなシグナルを出してパートナーに伝えることもできます。
  1. マクシ(K):キスをするように唇をつき出す
  2. ベリ(7):右目をウィンクする
  3. シュプリツァー(♣7):左目をウィンクすうる
  4. ハウプトシュラーク:鼻にしわをよせる
  5. ブリンデ:ブリンデの枚数分の指を少し伸ばす
  6. それ以外の切札:中指で枚数分テーブルを叩く
シグナルを覚えるは至難の業ですが、覚えるとかなり楽しさが倍増しそうです。


バリエーション


2人プレイ
4人ゲームとほとんど同じです。ディーラーでないほうが切札のランクを決め、ディーラーが切札のスートを決めます。

3人プレイ
ディーラーの左隣のプレイヤーが切り札のランクと切り札のスートの両方を決めます。
他の2人のプレイヤーが臨時のチームになり、1人対2人でどちらが3トリックを取るかを競います。
各プレイヤーは自分の得点を書きとめます。
2人のチームが勝った場合は、それぞれがその得点(ゲーヘンがなければ2点)を自分の得点とします。

マシネ(machine)
手札にクリティシュ(K,7,♣7)が3枚ともある場合は、必ずその旨を宣言して2点獲得するといルールを追加します。

切り札決めの変更
ディーラー左隣のプレイヤーは、シュラークの変更(Schlagwechsel)をディーラーに申し入れができるよう、ルールを変更します。
シュラーク変更をディーラーが合意した場合、最初にディーラーの左隣のプレイヤーがどのスートを切り札するかを宣言します。
その後、ディーラーが、どのランクを切り札ランク(シュラーク)にするかを宣言します。

目標点数の変更
合計15点以上取ったチームの勝ちに変更します。
15点以上勝利にした場合、合計13点以上取ったチームはゲーヘンができなくなります。



オーストリアのバッテン

オーストリア、特にザルツブルクや北チロル地方では、2番目に強い切り札は6になります。つまりクリティッシュの強さは:
K>6>♣7
になります。
オーストリアのカリンシアの特定の地域では、クリティッシュが4枚になります。
クリティッシュの強さは:
J>K>7>♣7
になります。
上記以外はバーバリア地方のバッテンと同じようです。


参考文献・参考サイト

参考文献
・トランプ大全
・キリンが欲望の赴くままにトランプのトリックテイキングゲーム本を書いてみました
参考サイト
BR

2020年12月2日水曜日

Marglia

マリグリア(Marglia)は4人ペア戦のトリックテイキングゲームです。

イタリアのサルデーニャ島にある、ヌオロ、オリビア、サッサリでよく遊ばれているそうです。

通常のトランプより各スートの8~10、ジョーカーを除きます。

全部で40枚になります。

各スートのカードの強さは:7>A>K>J>Q>6>5>4>3>2です。

JはQより強いことに気をつけてください。

このゲームは反時計回りに進行します。

ゲームの目的:35点以上を取ること

ゲームの終了は決まっていないようです。

人数ディールまたは、事前にプレイするディール数を決めて置きます。



カードの得点

各カードには下記表のとおり得点ついています。

6,5,4,3,2の5枚を「フリーロ(frillo)」と呼びます。
6,5,4,3,2は得点はありませんが、トリック中に取ると追加得点になります。
トリック中の追加得点については後述します。

ディール

最初のディーラーをじゃんけんなど適当な方法で決めます。
以降は反時計回りに持ち回りに交代します。
ディーラーはシャッフルした後、裏向きにして1つの山札にします。
山札の一番下のカードを裏向きのまま、自分の前に置きます。
それ以外のカードを山札の一番上から、各プレイヤーに5枚ずつ配ります。
このときディーラーは自分の前に置いたカードと混ざらないように配ってください。
2周目を配るときは、ディーラー以外のプレイヤーに5枚ずつ、ディーラーに4枚配ります。
配り終えた後、自分の前に置いたカードを1枚表向きにして、全員に公開します。
このカードのスートが切り札になります。
さらに表向きにしたカードに得点がある場合(フリーロ以外)、即座にそのカードの得点がディーラーのチームに加算されます。
もしこの時点でディーラーのチームの合計点が35点以上だった場合、ディーラーはパートナーと相談し、ただちプレイを終了することもできます。
その場合は、プレイすることなく得点計算を行います。
ディーラーは全員に公開した後、表向きにした1枚を自分の手札に加えます。



プレイ

ディーラーの右隣が最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ずそのスートを表向きにして場に出します。
該当のスートが複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
ない場合は、切り札を出さなくてはなりません。
ただし次の条件のいずれか1つに該当する場合は、切り札を出す必要はありません。
  • 現時点で自分のパートナーが勝っている場合(パートナーがトリックを取れる場合)
  • 自分の手札に切り札が1枚もない場合
  • すでに切り札が1枚以上出ており、場に出ている切り札より強いカードが1枚もない場合
上記のいずれかに該当する場合は、手札から好きなカード1枚を表向きにして場に出します。
※現段階でパートナーが勝っている場合、それより強い切り札を出してもかまいません。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
  • 切り札が出ていない場合は、リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
  • 切り札が出ている場合は、切り札スートで一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
既にトリックで取ったカードと混ざらないように置いてください。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
全員の手札がなくなるまでプレイを続けます。
手札がなくなったら、1ディール終了です。



得点計算

得点は次のように集計します。
  • 1トリックで取ったカードの中にフリーロ(6,5,4,3,2)が1枚以上入っている場合、カードの得点に加え、追加で1点を加算します。
フリーロが2枚以上あっても追加点は1点です。
  • 1トリックで取ったカードにフリーロ(6,5,4,3,2)が1枚もない場合は、カードの得点を合計します。
上記のカードの合計点より35点を引いた差がそのチームの点数になります。
引いた差が0点以下の場合は、そのディールの得点はありません。
1ディールでの最大得点は70点になります(カードの合計点:60点+追加の最大点:10点)。
合計点から引く点を45点にすることもあるようですが、推奨はされておりません。



ゲーム終了

人数ディールまたは、事前に決めたディール終了後、合計点が高いチームの勝利になります。


コミュニケーション

コミュニケーションができるようにします。
コミュニケーションを採用する場合、プレイする前に、次のことに対し全員の同意を得た上で採用します。
  1. 相手の質問には本当のことを答える
  2. 誰にでもわかるように答える。暗号やシグナルなど特定の人間にわかる答え方や、ごまかすような答え方はできません。
コミュニケーションの仕方はさまざまなようです。
一般的なのはコミュニケーションはパートナー同士のみ行える
というものです。
コミュニケーションは、プレイの進行と同じく、ディーラーの右隣から反時計回りに順番に行うものと思われます。
どのような質問ができるかは厳密には決まっていません。
一般的な例は次のような質問です。
  • 特定のスートの枚数を質問する
  • 特定のランクの枚数を質問する
  • 手札にあるカードの合計点を質問する
はっきりと情報がわかるような質問は避けた方が良いでしょう。



マニグリア(Maniglia)

このゲームではナポリタン・パターンのラテンスートでプレイするそうです。
マニグリアでは3~5人まで遊べます。
また4人でプレイする場合は個人戦にすることもできます。
プレイ進行は反時計回りになります。
3人でプレイする場合は任意のスートの2を1枚除外してプレイします。
3人の場合は各プレイヤーに13枚、4人の場合は各プレイヤーに10枚,、5人の場合は各プレイヤーに8枚配ります。
切り札はビッドで決めます。
明記されていませんが、ビッドは獲得できる点数でビッドすると思われます。
それ以外のルールは上述のマルグリアとほとんど同じです。
ただし現在の合計点が29点以上だった場合、ディーラーの表向きにしたカードの得点は得られません。
お金を賭けてプレイすることもあるようです。



参考サイト