2021年12月14日火曜日

あなたの知らないトレセッテ(Tresette)

今回はトレセッテとそのバリエーションゲームを紹介します。
また本来はシチリアデッキを使いますが、通常のトランプで説明します。
シチリアデッキではC(キャバリエ)があり、その一方でJがありません。
通常のトランプを使うにあたり、CをJに読み替えて説明します。
想定より長くなりましたので、インデックスを作りました。

インデックス




トレセッテ(Tressette)

トレセッテは、4人ペア戦のトリックテイキングゲームです。
トレセッテはスリー・セブンという意味のようです。

👉人数:4人ペア戦。向かい合った2人がパートナーになります。

👉使用するトランプ:通常のトランプより各スートの8~10とジョーカーを除きます。全部で40枚になります。

👉目的:21点以上先取

👉カードの強さ:3>2>A>K>J>Q>7>6>5>4

シチリアデッキから読み替えると上記の強さになりますが、カードの強さを次のように変えてもかまいません。

カードの強さ:3>2>A>K>Q>J>7>6>5>4

切り札はありません。
このゲームは反時計回りに進行します。



得点

このゲームでは次のカードを取ると得点になります。
  • A:各1点
  • 3,2,K,J,Q:各1/3点
上記以外のカードは得点がありません、
また最後のトリックを取ると1点になります。

ディール

ジャンケンなど任意な方法で最初ディーラーを決めます。
以降反時計回りで持ち回りで交代します。
ディーラーはシャッフルした後、反時計回りに5枚ずつ、各プレイヤーの手札が10枚になるように配ります。

プレイ

ディーラーの右隣のプレイヤーが最初のリードプレイヤーになります。
リードプレイヤーは手札から好きなカードを1枚、表向きにして場に出します。
以降リードプレイヤーが出したスートがあれば、必ずそのスートを表向きにして場に出します。
該当のスートが複数枚ある場合は、その中から好きな1枚を表向きにして場に出します。
全員出し終わった後、このトリックの勝者を決めます。
リードプレイヤーが出したスートで、一番強いランクを出したプレイヤーが勝ちます。
勝ったプレイヤーは場に出ている全てのカードを裏向きにして、自分の脇に集めておきます。
勝ったプレイヤーが次のリードプレイヤーになります。
全員の手札がなくなるまでプレイを続けます。
全員の手札がなくなったら、1ディール終了です。

手役

最初のトリック終了後、手札に次のような組合せがあれば宣言して、得点にすることができます。
得点の組合せは、最初のトリックで自分が出したカードを組み合わせてもかまいません。
  • 「3」が4枚、「2」が4枚、「A」が4枚:各4点
  • 「3」が3枚、「2」が3枚、「A」が3枚:各3点
  • 同じスートで3-2-Aの組合せ:各3点
3枚の手役の宣言をする時、手札にどのスートがないかを言う必要があります。
例えば、♣3-♠3-3の手役を出すとき、手札に♦️が1枚もない場合、「♦️は1枚もありません」と言う必要があります。
3-2-Aの組み合わせを宣言するときは、そのスートを宣言します。
また3-2-Aの組合せで使ったカードを、同じランク3枚または4枚で使って得点してもかまいません。
例えば♣3-♣2-♣Aを宣言後、♣3-♠3-3を宣言し、計6点を獲得できます。



シグナル

そのトリックでリードする際、次のシグナルを使うことが許されています。
  • テーブルをノックする、または「ブッソ」を宣言する:リードで出されたスートの一番強いカードをプレイして、勝ったらそのスートでリードしてもらう
  • 「ピオンボ」を宣言する、または手を上げて手札をテーブルに投げ出す:自分がリードで出したスートがその1枚で最後、つまりもう手札にはそのスートがないという意味になります。
  • 「ストリシオ」を宣言する、または出したカードをテーブル上で滑らせる:自分がリードで出したスートのカードが、KまたはKより低いカードが手札に1枚以上あることを意味します。

ゲーム終了

1ディール終了後、いずれかのチームの合計点が21点以上であれば、そのチームの勝利となりゲーム終了となります。
複数ゲーム行う場合は、次のゲームポイント制を導入することもできます。
  • カポット:いずれかのチームが合計で全10トリック取った場合、2ゲームポイント獲得
  • ストラマッチオ:いずれかのチームが全トリック取らずに、全てのカードの得点を獲得した場合(最後のトリックは相手チームが取っていてもかまいません)、3ゲームポイント獲得
  • カポトーネ:1人で全10トリック取ったチームは、6ゲームポイント獲得
  • ストラマッツォーネ:相手チームが1トリックのみで、かつ3人が1点未満(この3人のいずれかが最後のトリックの得点を獲得していてもかまいません)で、1人が他の点数を全て獲得した場合、8ゲームポイント獲得


バリエーション


トレセッテ・コン・ラ・キアマータ・デル・トレ(Tressette con la Chiamata del Tre)

パートナー戦ではなく、4人個人戦にすることもできます。
原文では年長者が最初のリードプレイヤーになりますが、最初のリードプレイヤーは適当な方法で決めて良いと思います。
各プレイヤーの手札が10枚になるよう配った後、リードプレイヤーは最初のリードをする前に、手札の中で「3」がないスートを1つ宣言します。
複数のスートで「3」がない場合は、いずれか1つのスートを宣言します。
宣言したスートの「3」を持っているプレイヤーがパートナーになります。
ただし、パートナーになったプレイヤーは、自分がパートナーになったことを黙ったままプレイします。
そのカードをプレイした時に、初めてパートナーであることが明らかになります。
原文に明記はありませんが、もしリードプレイヤーが「3」4枚持っていたときは、その中で好きなスートを宣言し、パートナーがいない状態でプレイすると思われます。
通常はチップを使用し、勝者(または勝者チーム)と敗者または(敗者チーム)でチップのやりとりをするそうです。
上記以外はトレセッテと同じです。

ロベルシーノ(Rovescino)

プレイ人数が3~8人までになります。
このゲームでは失点制、つまりできるだけ得点を取らないようにします。
17世紀初頭に作られたゲームで、リベルシ、ハーツの祖先に当たるようです。
イタリア全土でプレイされていたそうです。
各プレイヤーの手札が均等になるよう配ります。余ったカードは「モンテ」として、裏向きにしてプレイの邪魔にならない所に起きます。
4,5,8人の場合でもあえて配り残りが出るように配ってもかまわないと思われます。
プレイはトレセッテと同じですが、最後のトリックを取ったプレイヤーは、取ったカードと「モンテ」を取ります。
取ったカードの得点を集計します。1/3点、2/3点となった場合は切り捨てず、次のディールに持ち越します。
通常はいずれか1人以上のプレイヤーの合計点が21点以上になったら、ゲーム終了となり得点が最も低いプレイヤーの勝ちになります。
4人以上でプレイする場合は、合計点が21点以上になったら、脱落にし、3人になるまでプレイを続けることもあります。
手役により得点はないと思われます。上記以外はトレセッテと同じです。

チャパノ(Ciapanò)

プレイ人数が3~5人までになります。
このゲームでは失点制、つまりできるだけ得点を取らないようにします。
ルールは上記のロベルシーノと同じですが、次の点が異なります。
  • 全てのカードの得点(最後のトリックの得点は含まれません)を取った場合、そのディールでの該当プレイヤーの得点は0点になり、他のプレイヤー全員に11点が与えられる。
  • 最初にプレイする前にカードの交換をします。手札の中から1枚を選んで自分の右隣に渡します。受けとった競技者は、同様に1枚を右隣に渡します。最後の1人は1枚を自分の横に置きます。このカードは最後のトリックの勝者のものになります。
  • チャパノのローカルルールでは、♣Aを取ると11点になります。このルールを採用する場合は、いずれか1人以上のプレイヤーの合計点が101点以上になったら、ゲーム終了となり得点が最も低いプレイヤーの勝ちになります。

トラヴェルソーネ(Traversone)

プレイ人数が2~8人までになります。
このゲームでは失点制、つまりできるだけ得点を取らないようにします。
ロベルシーノとほぼ同じルールですが、次の点が異なります。
  • ♣Aを取ると11点になります。
  • 配り残ったカードは全員に公開されます。
  • 点数制(21、31、41、または100)またはディール数のどちらかになります。ディール数が設定されている場合、最も低いスコアを持つ人が勝ちます。一方、スコア制が設定されている場合は、その点数に達したらゲーム終了にするか、またはその点数以上になったプレイヤーを脱落し、サドンデス制にするかを選択します。
  • 最後のトリックを取ったプレイヤーが全てのカードの得点21点を取った場合、そのディールでの該当プレイヤーの得点は0点になり、他のプレイヤー全員に21点が与えられます。
トラヴェルソーネには次のローカルルールがあります。いずれかを組み合わせてルールに入れても良いでしょう。
  • 手札に手役がある場合は、該当の点数を取った得点から差し引くことができます。
  • いずれかのプレイヤーがフォローできなくなるまで、♣をプレイできないルールもあります。
  • 手札に得点になるカードが1枚もない場合、そのディール終了後、10点が与えられるか、または最後のトリックを取ったプレイヤーと得点を分け合います(端数切り捨て)。
  • 配り残りのカードと交換するルールもあります。この場合、最初の配り残りのカードは裏向きのままにすると思われます。
トラヴェルソーネはAndoroidアプリであそべるようです。

トレシェタ(Trešeta)

主に4人ペア戦になります
クロアチアのアドリア海沿岸部、特にダルマチア、またモンテネグロのアドリア海沿岸部、とくにコトル湾でもプレイされているそうです。
プレイの進行は時計回りになりますが、ルールは上述のトレセッテと同じです。

2人ゲーム

2人でプレイする場合、各プレイヤーに10枚ずつ配ります。
残ったカードは裏向きにして山札になります。
各トリックで勝ったプレイヤーから手札の補充を行います。
勝ったプレイヤーは、山札の一番上カードを相手に見せた後手札に加えます。
その後負けたプレイヤーは山札の一番上のカードを、相手に見せることなく手札に加えます。



参考文献・参考サイトなど

他のサイト・書籍での主な相違点

👉手役については、ナポレターナ(Napoletana)というバリエーションゲームとしている記述もあります。
書籍によってはバリエーションではなく、通常ゲームとして組み入れられている記述もあります。
👉手役の宣言は最初のトリックの後、と説明しましたが、ゲームファーム、David Parlettの"Original Dictional Games"では、最初のトリックをプレイする前に手役の宣言を行います。
👉合計点が21点以上達していると思ったら、勝利宣言し、21点以上に達していればそのチームの勝利になり、万が一21点未満だった場合、相手チームに11点が献上される、ルールもあります。
👉最後のトリックは1点ではなく、1/3点でプレイするルールもあります。

参考文献・参考サイト

・"Sicilian Card Games: An easy-to-follow guide"  Veronica Di Grigoli
・”Italian Card Games for All Ages How to play Briscola, Scopa and many other traditional Italian card games” Long Bridge Publishing
・"Original Dictional Games" David Parlett
・"Penguin of Card Games: Everything You Need to Know to Play Over 250 Games" David Parlett

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